健康そのものだった52歳ライターが、心臓発作で死にかけた話

完全に他人事と思っていたら…
上阪 徹 プロフィール

いずれにしても、いわゆる心臓カテーテルで検査をしてみることが必要、それまでに発作が再び起きれば心臓が止まってしまう危険があるので急がないといけない――と。

急遽、カテーテル検査のために手術室へと送り込まれた。検査が始まり、20分も経たないうちにわかったのは、私の場合は血管が破れたわけではなかったことだった。

疑いは、冠状動脈が一時的に痙攣した冠攣縮性狭心症。動脈の痙攣によって、心臓の一部が弱まってしまったのだ。ただ、もしそのまま放置していたり、もう一度、大きな発作が起きていたら危険だった、と言われた。

幸いにも何より早く対処できたことで、命は助かったのである。そのまま入院。先生には5日と言われたが、4日後に退院させてもらった。

 

若い人も油断は禁物

ガンも怖い病気だが、いきなりすぐに命が奪われてしまうようなことは、そうそうないだろう。だが、心臓発作は違う。たった一度の判断ミスで、取り返しがつかない事態を招きかねないのだ。そこに心臓発作の怖さがある。

しかも、私がそうだったように、血液にも問題なく、心臓について何か指摘を受けたわけではないのに、突然やってくるというリスクがある。予兆もなかったし、別段、気を付けることもできない。まさに発作は突発的に起こったのだ。

ひとつ先生に指摘されたのは、お酒。飲んでもかまわないが、飲み過ぎは心臓にはよくない、と。

身体に発作体質があったことは後の検査でわかるのだが、それは発作が起きたからわかったことだとも言われた。事前に体質を把握することは、至難の業らしい(ただ、少しでも何か気になることがあるなら、早く病院で検査してもらったほうがいい)。だから、前日まで元気にランニングをしていたような人間が、たった1回の心臓発作で死の危険に追いやられたのである。

私はこれもまた幸運だったのだが、この日、取材の予定もなければ、外出の予定もなかった。もし取材が入っていたら、代役はいないから、と無理をした可能性がある。救急車を呼ばず、そのまま命を落としたかもしれない。

改めて感じたことは、発作のリスクを知っておくこと、そしてその瞬間にどんな行動をとるべきか、ほんのちょっとでも意識しておくことの大切さだ。これが、万が一のとき、命を救ってくれるのだ。

・健康だと思っていても、心臓発作は起こり得る
・心臓が苦しくなるのではなく、喉や肩、胃など思わぬ場所に異変は現れる
・起き抜けの1時間など、安静時こそ危ない
・おかしいと思ったら無理は絶対せず、とにかく早く救急車を呼ぶ
・自宅で一人で倒れたときの対処法を認識しておく

これから寒い季節がやってくる。心臓発作なんて他人事、などとは絶対に思ってはいけない。中高年だけではない。20代で私と同じような発作を起こした人もいる。大事なことは、万が一の心の備えをしておく、ということだ。私の経験が、少しでもお役に立つことができたなら幸いである。