ゴーン事件、新聞各紙を読み比べると見えてきた「問題の核心」

ポイントは最初の3日間に詰まっていた
プチ 鹿島 プロフィール

江戸時代とグローバルが混然…

そのうえで注目されだしたのは、ゴーン会長の逮捕が「なぜ今だったのか」。

新聞報道はゴーン氏のド派手なカネの話から、徐々に「日産とルノーの暗闘」にシフトしていくのだ。これも報道3日目の特徴だった。

私が注目したのは産経新聞1面の名物コラム「産経抄」(11月22日)。

冒頭を引用する。

《日産自動車の会長、カルロス・ゴーン容疑者(64)の逮捕には、謎が多い。その一つが時期である。なぜ、今週の初めだったのか。有価証券報告書への報酬減額の記載や不正な経費支出などは、数年前から行われてきた。》

これは皆の疑問である。産経抄は続ける。

《英紙フィナンシャル・タイムズの記事は、その謎を解くカギになりそうだ。ゴーン容疑者は、日産とフランスの自動車メーカー、ルノーとの合併計画を進め、数カ月以内に実現する見込みだった。これに対して日産の取締役会は、阻止する方法を模索していた、というのだ。》

《ルノーの筆頭株主である仏政府は、かねて日産の経営に関与しようと試みてきた。それに抵抗してきたのがゴーン容疑者である。もっとも、今年6月にルノーの最高経営責任者の続投が決まったことで、仏政府と手を打った、との見方も出ていた。》

いかがだろうか。ゴーン氏のカネの話から「日産とルノーの暗闘」に話題が移っているのがよくわかる。

 

さて、この産経抄なのだが、後半の展開がすごいことになっていた。

《主君が間違った行動を取ろうとすれば、諫(いさ)めて説得するのが江戸時代の武士の務めだった。それでも主君の行いが直らなかった場合はどうするか。歴史学者の笠谷和比古(かさや・かずひこ)さんによると、監禁したり隠居に追い込んだりする、主君「押込」の慣行があった。》

グローバルな話をしているのにいきなり武士の話をぶっこむ産経抄! 2018年の紙面に「主君」と「押込」の文字が躍る。

《いわば主君「押込」だったと解釈すれば、納得がいく。》

納得してしまった産経。

グローバルと江戸時代が混然となった、まさに「保守おじさん」産経ここにありのコラムであった。