日本人ノーベル賞受賞者の色あせない発見「光るタンパク質」の驚愕

下村脩氏のGFPは「写真」を変えた!
田中 沙紀子 プロフィール

見たいタンパク質を見る方法

まず、「見たい分子」といいましたが、「見たい分子」っていったい何なのでしょうか?

それは主に、タンパク質です。DNAは体の設計図とよく言われますが、設計図であるDNAの情報に基づいてつくられ細胞の中で働いているのは、実はタンパク質なのです。

ですから、タンパク質の働きがわかれば私たちの体の中のことがわかります。そのために、タンパク質を見たい! というわけです。

DNAの特定の場所の情報をもとに、特定のタンパク質がつくられるDNAの特定の場所の情報をもとに、特定のタンパク質がつくられる

さて、GFPというのは、オワンクラゲの体の中でつくられている、光るタンパク質でした。ということは、オワンクラゲはGFPの設計図の役割を果たすDNAも、当然持っているわけです。

このGFPの設計図(DNA)をとってきて、自分が見たいタンパク質の設計図(DNA)にくっつけてしまえば、見たいタンパク質にGFPがくっついたものができあがります。

見たいタンパク質がGFPによって光って見えるようになるのです!

DNAにGFPの設計図の情報を入れ込めば、このDNAからはGFPがくっついたタンパク質がつくられるようになるDNAにGFPの設計図の情報を入れ込めば、このDNAからはGFPがくっついたタンパク質がつくられるようになる

GFPは、研究者にとってなくてはならない道具

下村先生がオワンクラゲから発見したタンパク質GFPは、マーティン・チャルフィー先生によって応用され、オワンクラゲ以外の生物にGFPがくっついたタンパク質をつくらせることができるようになりました。

また、ロジャー・チェン先生によって光る仕組みが解明されました。さらにチェン先生は、GFPの構造を少しずつ変化させることで、緑以外のさまざまな色の光るタンパク質をつくりだすことに成功しています。

こうした光るタンパク質をうまく使えば、たとえば2種類のタンパク質を別々の色で光らせることもできます。2008年のノーベル化学賞は、こちらの3名の先生方が受賞されています。

GFPが発見・応用されたことで、研究者が見たいタンパク質を細胞の中で光らせることができるようになりました。また、生きた細胞の様子を観察することもできるので、「何かの刺激を与えると、タンパク質が働く場所が変わる」といった変化の仕方もリアルタイムに見ることができます。