米NASA、中国JDドットコムが明かした「AI活用」の驚愕の中身

アメリカの「AIサミット」に潜入してみた
荻野 調 プロフィール

トップ企業が技術をこれでもかとオープンにするワケ

今回のAIサミットで筆者の関心を引いたのは、どのAI先端企業も技術をかなりの深度でオープンにしていることだった。

日本では考えられないことだが、彼らは自分たちの手の内を惜しげもなく公開したプレゼンを行っている。どの企業もAIモジュールの組み合わせ方や構成図をプレゼンの時に積極的に見せていた

世界最大級のビジネス特化型のSNSとして知られる「LinkedIn」はセッションにCTO(最高技術責任者)が登壇し、構成図をオープンにして饒舌に説明していたが、そればかりかその構成図を含むプレゼン資料は大会の参加者に後日、漏れなくメールで送られたのだから驚かされた。

これは優秀なAI人材が集まるサミットの特性ともいえるが、さすがにここまでオープンにすると、オープンソースについての考え方に変化が生じていると考えざるを得なかった。これまで苦労して開発した技術を「タダで見ていけ」と言っているようなものだからだ。

その理由ははっきりと語られているわけではないが、筆者はおそらく数少ない人材の獲得戦略だと受け取った。

優秀なAI人材の獲得競争はし烈さを増しているが、AI先端企業は、自分たちの虎の子をオープンにしてまでも、優秀なAI人材に「これはすごい!」「これはイケてる!」と思わせたいのではないか。そして「一緒にやろう!」と呼び掛けているように見えた。

こうしたオープンな考え方は、これからの競争のルールが変わったことも意味している。従来の開発競争からさらに一歩先んじるには、若く新しい発想を持つAI人材の獲得なしではあり得ない。これまでの技術に安住してはすぐに陳腐化していくので、積極的に技術力を公開して知的好奇心をくすぐることで次の人材獲得へ繋げているのだろう。

そうすることで開発の方向性や魅力をアピールすることができる。そうしてフレッシュなAI人材を獲得し、絶え間なく次世代の開発につなげていくのだ。それがいまのAI先端企業の考え方なのではないだろうか。図らずも当社(ファントムエーアイ社 https://phantom-ai.com/)の世界中の知恵を集めるエコシステムのプラットフォームを作ろうとしている考え方に通じるものになってきている。

 

「日本人不在」のAIサミット

このAIサミットは今年で3年目。世界から一流のAI企業が参加していたが、日本企業のブースは私が見る限り1社だけだった。参加した日本人もごく少数だったことには落胆させられた。

派手なイベントでなくても世界最先端の各企業が講演する機会を見逃すのはもったいない。ランチを食べる同じテーブルにGoogleと中国企業のAIエンジニアが座り、世間話をしているようでAI議論がされている風景は貴重だ。

ちなみに、このAIサミットの会場はサンフランシスコのマリーナ地区にある芸術宮殿、「パレス・オブ・ファインアーツ」だった。1915年のサンフランシスコ万国博覧会のために創建された芸術と科学の史跡。ここで最先端のAIサミットが開催されるというのは、テクノロジーの過去から未来への連続性を実感するには十分な趣向だった。

テクノロジーの発展に終わりはないので、AIに出遅れてしまった日本もまだまだ挽回の余地は残されている。AIサミットは12月にもニューヨークで開かれる。弊社も来年はブースを出展するつもりだ。