「誕生日プレゼントは何がいい?」と子に聞く親に抜け落ちているもの

世代間連鎖を防ぐ子育て論〈14〉
信田 さよ子 プロフィール

子どもの希望を聞く親の5つの心理

本連載で以前「お願いをする親」について述べたことがあります(第4回「子どもに『命令』できない親が急増中! それはただの責任放棄だ」)。

「誕生日プレゼントは何がいい?」と聞く親は、「お願いする親」とどこか共通していないでしょうか。親たちが子どもの希望を聞く理由を5つ挙げてみましょう。

 

(1)私はちゃんと子どもの意向を聞いている、一方的に決めたりしない親だとアピールしたい。抑圧的だったり一方的だったりせずに、子どもを対等に扱うのがいい親の条件だからである。

(2)単純に選ぶのが面倒だから。いったい子どもが何を欲しがっているのか、考えるのも面倒だ。本人が欲しいものを買ってやるのがいちばん手っ取り早い。

(3)本人が欲しいというものがもっとも確実であり、見当違いなものを買ってしまうリスクがもっとも低い(リスク回避的判断)。

(4)せっかく買ったものが子どもの気に入らなかった場合に、自分が傷ついてしまうし、子どもに嫌われるかもしれない。それが怖いので子どもに選ばせる。

(5)親が選ぶことは親の責任になるので、子どもに責められるかもしれない。子どもに選ばせれば「あんたが自分で選んだんでしょ」と子どものせい(責任)にできる。

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「自己責任」を負わされる子ども

ひとつずつ、もう少しくわしく説明してみましょう。

(1)は「子どもを対等にあつかっている親」=「いい親」という前提に立っています。「お願いする」ことも同じでしょう。上から目線で命令しないで、対等な位置からお願いするのです。

保育園や幼稚園でも、「○○しなさい」という表現は、「○○してください」に取って代わられました。保育者や先生がそう言うだけではありません。親も子どもに対して「~してください」と言うのです。

路上では「走らないでください」、ファミレスでは「こぼさないでください」と言うママの姿は珍しくありません。パパたちに至っては「騒がないでください」というお願い口調がすっかり定着していて、そのような語法を用いることがよきパパの資格だと考えているかのようです。

「決して子どもに強制していない」こと、つまり抑圧的でないとアピールしているのです。現実には、騒ぐ子どもに「○○はやめてください」とお願いしてもらちがあかないと、キレて大声で叫んだりする親の姿があまりに多いのは皮肉なものです。

(2)は、ちょっときつい表現かもしれませんが、単に親の都合で手間暇を惜しみ、誕生日プレゼントを選ぶことをさぼっているだけではないかと思います。

(3)もリスク回避という言葉を使ってはいますが、さぼっていることには違いありません。仕事上の発想であるリスク回避、省力化といったものが、育児にそのまま応用されている懸念もぬぐえません。

IT技術の進展で生活がどれほど便利になったとしても、親との関係が決定的に重要になる育児だけは、省力化・効率化できずに残るということを強調したいと思います。