経営者に必要な、最大にして最重要の資質は「使命感」だと考える。
それは「世のため、人のため」という思想からくる思いだ。創業経営者は創業時からすでに「夢」や「志」を内在させており、それらは「使命感」とワンセットになっている。
しかし、サラリーマン経営者は、会社は自分の資産・財産でもないし、特別な待遇や教育を受けるわけでもない。
そもそもその会社に入ったのは、偶然に過ぎない。
学生時代にいくつかの内定を得ていれば、まったく違う会社で、まったく違う人生を歩んでいても少しもおかしくはなかった。コミットメント(確約)は創業経営者に比べてはるかに小さなものとならざるを得ない。
では、そんなヒラ社員がどうやって「経営者」になるのか。
いや、なれる会社はどういう会社なのか。
それは社員なら「夢」「志」を抱いているかどうか、会社なら「世のため、人のため」という大切な価値観を持っているか否かで決まる。
その点、定保英弥はどうか。使命感は、企業理念「創業の精神を継ぐ日本の代表ホテルであり、国際的ベストホテルを目指す企業(後略)」の実現にある。
迎賓館として開業した128年前当時の原点に立ち戻り、〝帝国ホテルらしさ〟のさらなる追求や、帝国ホテルのDNAを次代に引き継ぐべく人材の育成に精力を注ぐのは、そのためだ。