Googleとアップル「最新スマホでカメラが劇的に進化した」理由

それでも一眼レフに勝てない1つのこと
西田 宗千佳 プロフィール

「1兆回の画像処理」が生み出す「最高の1枚」

具体的には、Pixel 3では「HDR+」、iPhone XSでは「Smart HDR」とよばれる機能が効果的にはたらいた結果なのだが、いずれの機能も、「瞬間的に得られている大量の、露出などの設定が異なる写真を合成し、より理想的な写真を生み出す」ものだ。

次の写真は、iPhone XSの発表会で用いられたプレゼン資料だ。

【写真】iPhoneXS プレゼン資料1
【写真】iPhoneXS プレゼン資料2
  アップルの新iPhone発表会より。現在のカメラは、同時に多数のディテールが異なる画像を取得し、それらにさらに処理を重ねることでハイクオリティな写真を生み出している

大量の写真が合成されているイメージがおわかりいただけるだろう。この過程で「どうすると良い写真になるか」という判断については、「Top Shot」機能と同じようにAIがその役割を担っている。

大量の写真から「好ましい1枚」にするために必要な情報を取得する、というアプローチは、すでに数年前から当たり前になっている技術なのだが、今年のスマホは、それをさらに大規模に適用したのが特徴だ。多数の画像を合成し、さらに加工を加える手法がある種の「閾値(いきち)」を超え、画質に大きな影響を与えている……という印象を覚えた製品群が出揃った。

アップルによれば、1枚の写真を撮影するたびに、じつに「1兆回の処理が行われている」という。

夜景やデジタルズームも「計算」が生み出す

先に掲載したPixel 3で撮影した夜景もまた、「多数の画像を合成する」ことで成り立っている。Pixel 3の「夜景モード」では、しばらくカメラを動かさずにいることでより多数の画像を取得し、それらを合成することによって暗いシーンでも明るく見える写真をつくり上げている。

Pixel 3もiPhone XSと同じく、シャッターを1回切るごとに多数の画像を取得している。それをさらに数秒分重ね、処理を加えることで、少ない明かりの映像からでも明るい写真をつくり上げることができるのだ。

Pixel 3の場合はまた、「ズーム」の画質も高い。スマホのレンズは薄く、小さくしないといけないため、一般的なデジカメと同じようなズームレンズは搭載しづらい。iPhone XSなどのハイエンドスマホでは、画角の異なる複数のレンズを搭載し、それを切り替えることで「光学ズーム」を実現しているものの、たいていは画像を拡大する「デジタルズーム」が使われている。

Pixel 3は光学ズームを採用せず、デジタルズームのみが使われているが、そのデジタルズームも画質が非常に高い。このデジタルズームについても、複数の画像の重ね合わせによる補完技術を使っている。

先ほど説明した「HDR+」などの高画質化では、光の再現のために多数の画像の重ね合わせを用いたが、デジタルズームでは、人間が撮影を行う際に必ず生じるわずかな手ブレによる、ほんのわずかな画像の差を活かしている。