銀行の預金金利が低いため、投資のほうがお金を増やしやすいといわれたり、老後資金を作るためには投資がよいという話を聞くようになりました。
国がiDeCo(個人型確定拠出年金)を利用できる対象者を増やしたり、つみたてNISAを作ってリスクが少ない投資を長期的にさせようとした動きも、投資未経験者が「投資をしたほうがよさそうだ」と考える要因になっているように感じます。
現状では、投資をしたほうがよさそうだと思っても、「始めるまでが面倒だ」、「本当にリスクが少ないのかわからない」、「なんだかよくわからない」というようなところで敷居を高く感じ、始められていない人が多いと聞きます。ですが一部では、効率よくお得にお金を増やしたいと思い、投資を始めなくてはいけないと焦っている人も出てきているのです。
「投資を始めたいのですが、どうやって始めたらいいですか」と家計相談の時に話をしてきた会社員Aさん(48)も、投資を焦っている一人でした。
お子さん(高2)の教育費も払わなくてはいけないし、夫婦の老後資金も準備しなくてはいけない。将来はお金が必要なことばかりと焦っています。今のところ、会社の定年退職の年齢は60歳。再雇用制度の利用も可能だが、給料は20万円ほどになると聞いています。
「定年後も働けるといっても、生活費には足りないかもしれない。お金を今から増やさなくてはいけないんです」と話すAさんは、実は投資についてはあまりよくわからないそうです。
しかも、親類が昔、株で大損をして大騒ぎしていたことを覚えていて、「投資は怖い」とも思っているそうです。でも、今だからこそやらなくてはいけない、そんな裏腹な気持ちを持ち合わせながら、投資に挑もうとしています。
ですが、投資はそこまでして無理にしなくてはいけないものでしょうか。
答えはNOです。というのも、投資を始める前にしっかりとさせておくべきところがあるから。それは「家計」です。