# 性犯罪

忘年会で酔った女性部下を襲った上司、そのヤバすぎる「開き直り」

正社員になったばかりの立場を逆手に…
露木 幸彦 プロフィール

吐き気、幻聴・幻覚、自傷行為の日々に…

忘年会後から会社を休んでいた約20日の間で、娘さんがかろうじて行えたのは、事件当日に着ていた衣服やベットカバーの処分、婦人科での妊娠検査、そして防犯カメラの有無の確認だけ。

吐き気や不眠、幻聴、幻覚、そして自傷行為の衝動によって身動きが取れず、ほとんど食べ物、飲み物を口にできず、まともに眠れない日々を送り、すっかりやせ細ってしまったのです。

さすがに隠し通せないと観念したのか。娘さんはアパートを訪ねてきた裕介さんに最低限の事情を白状するしかなかったそうです。

「娘はホームで電車に飛び降りそうになったこともあったんです!」

裕介さんはそう振り返りますが、娘のほうも事件をきっかけに、街中で他人の男性とすれ違うだけで強姦の記憶がフラッシュバックするので、あらゆる男性に対して恐怖心を抱いてしまう。そんなふうに男性不信の状態に陥っており、裕介さんが付き添っても突然、自傷行為に走ろうとする場面が何度も起こったそうです。

「娘を1人暮らしさせるべきではなかった。うち(実家)から通っていれば、こんな目に遭わなかったのではないか」という後悔の念や、「娘を助けることができたのではないか」という罪悪感、そして「これから娘はどうすればいいのか」という不安が裕介さんの頭のなかで同時に駆け巡り、何度も苦しい思いをしたそうです。

 

性犯罪者だと自覚していない上司のセカンドレイプ

「もしも妊娠したらどうするつもりだったのか? 医療費くらいはそっちで払うべきだろ! とにかく誠意を見せて欲しい」

裕介さんは傷心の娘さんに代わって、上司へLINEを送ったそうです。

裕介さんが「医療費」というのは、上司は避妊せずに射精をしたので娘さんが妊娠している可能性もあり、妊娠の有無を確かめるべく産婦人科へ駆け込んだからです。また、不幸中の幸いで妊娠していなかったのですが、今度は後遺症を診てもらうため、内科への通院を余儀なくされました。

上司が今回の事件を起こさなければ、内科や産婦人科の医療費はかからなかったのだから、上司が医療費を負担するのは当たり前でしょう。具体的にいうと内科の医療費が7000円、産婦人科が6000円の計1万3000円という金額にすぎません。裕介さんからすればまず上司の誠意を見せて欲しいという意図での要求でした。

しかし、上司はそんな裕介さんの質問に対してまともに向き合わず、「そのことなら直接話すから」の一点張りで、自分が性犯罪者だと自覚していない様子だったと言います。万が一、このような状況で被害者が加害者と直接顔を会わせたら、事件当日のことがフラッシュバックするに違いありません。このように性犯罪の被害者が事件以降も加害者によって傷つけられることを「セカンドレイプ」と呼びますが、事件以降の上司の言動はまさにセカンドレイプをうかがわせるものでした。

「これ以上、娘を苦しめるわけにはいかないんです!」

裕介さんは当時の心境を振り返ってくれました。

そこできちんと事件の落とし前をつけるべく、上司と直談判する決意をしたのです。とはいえ上司の電話は着信拒否、メールは完全無視、LINEは既読スルーされている状態。裕介さんはやむを得ず、会社のエントランスで待ち伏せをしたのです。