なぜ「高齢者の性」の話はタブーになったか…田原総一朗が辿る

高齢者の性を巡る旅⑥
田原 総一朗 プロフィール

セックスはなぜタブーか

――そこで本題ですが、高齢者と性が、今非常に問題になっていますね。一つには、どちらかというと、女性が中高年になると性に興味がなくなり、夫のセックスの相手になってくれなくなる。離婚した場合もあるでしょうが、そういうときに、男性たちはどうするのか、と。

「私の本にも書きましたが、選択肢はいっぱいあると思いますよ。AVとか、官能小説を読むとか。そして高齢者でも行ける風俗店に行くとか」

――風俗店、私は実は行ったことがないのですが、行ってどういうことをするのですか。

「店舗型の風俗店では、お店の中にたくさん個室があって、その部屋のなかで女性が男性客に対して性的なサービスをする、という形になります」

 

――なるほど、店に行って好みの女性と「契約」するわけですね。ところで、坂爪さんの本で「こころあわせ」という高齢者専用の性風俗店を知って、その経営者にも、お客さんに性サービスをしている女性たちにも会いました。「こころあわせ」は、性サービスはするけれども、本番はしないのですね。なぜ、本番はダメなのですか。

「そこはすごく難しいですよね。なぜ、挿入だけはダメなのかという問題。
法律上は挿入=売春だという定義になっている、と考えられている」

――私の学生時代には売春防止法という法律はなくて、いわゆる売春宿から大学に来た、という学生もいました。しかし、私は売春防止法がない方がよい、と言いたいのではないのです。

実は、私はこれまで一度も買春をやったことがないのです。12年くらい前の話ですが、ある企業に頼まれて、シンガポールや、タイのバンコク、インドネシアのジャカルタなどで、日本から派遣されているいろんな企業の社員や奥さんたちに講演するために行ったことがあります。

そのとき、講演が終わると、それぞれの都市で、日本で言えばキャバレーやクラブのようなところへ案内されて、酒を出されて、店にいる女性たちの誰がよいか、と勧められました。つまり、気に入った女性とセックスをしてはどうか、ということです。

私は、困惑して、「まことに申し訳ないのですが、私はそれはやらないのです」と断りました。みなさん、困られたようですが。

田原総一朗氏

なぜ、私は買春をしないのか。売春防止法があるためではありません。私はセックスは、心が通じ合い、信頼している女としか行わない。つまり恋人や女房ですね。

それは、道徳のようなものでもなく、何というか、宗教に近いような感じがあるのです。だから、信頼している女性以外とでは、キッスもしません。

しかし、デリヘルの女性たちの手のサービスや、口のサービスで射精するのならば、なぜ本番はダメなのか。逆に売春防止法は、なぜ手や口によるセックスはOKなのに、挿入はダメなのか、ここが私には理解できないのです。

「うーん、ただ売春防止法ができたときは、赤線などで女性の性を買ったり売ったりするのは女性に対する搾取と差別であって、人権を重んじる民主主義国家としてはまかりならん、ということだったのではないですか」

――だけど、たとえば「こころあわせ」の女性たちは、積極的に申し込んで、悩める老人たちを満足させてやって、それにやりがい、誇りすら抱いています。これはどう考えても、女性差別の埒外でしょう。

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