「黒いダイヤ」密漁ナマコ規制強化で、闇社会の資金源は断たれるか

罰金は一気に15倍へ引き上げ
松岡 久蔵 プロフィール

被害額1億9000万円の摘発事例も

理想的な摘発の方法は、ワゴンなどの運搬車両に積み込んでいる現場を押さえることである。しかし、ナマコの密漁グループは高度に組織化、巧妙化されている。

10人程度のグループで、夜間に漁港や砂浜などから無灯でゴムボートで海に出た後、ボンベなどの潜水具を使って1~2時間密漁し、ワゴン車に積み込んで現場を離れる。瀬戸内海では、高速船で無灯で航行し、取締船を探知する高性能レーダーを備えたグループもいた。

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密漁の実行役だけでなく、見張り役、おとり役など分業化された手口は、海上保安庁などによる取締りを困難にしてきた。漁村で少子高齢化が進み、漁業者の監視が行き届かないことも課題となっている。

山口県では、愛媛県松山市三津浜などから出港したグループが、瀬戸内海沿岸の周防大島町などで年間に100日程度密漁をしているという。

 

密漁者は、地元の漁業者による稚ナマコの放流が終わる3月以降を狙い、4月、5月に集中して密漁を働く。近年は海上保安庁などの取締り強化により減少傾向にあるものの、アワビやサザエなどを含めた被害額は年間3億円程度に上る。

2015年には、青森県で暴力団組員らによる被害額約1億9000万円の摘発事例も発生しており、ナマコ密漁が暴力団の有力な資金源になっているとも指摘されている。暴力団対策法による締め付けが厳しくなったことが、暴力団による密漁の増加の背景にあるとされる。

ある国会議員の証言

今回の罰則強化で特筆すべきなのが、罰金額の引き上げが行われるだけでなく、摘発の際に「販売目的の密漁」であると立証しなくてもよくなった点である。これにより、都道府県の許可なくナマコを取っただけで検挙できるようになる。水産庁によると、潜水器を使った密漁は年間約30件しか検挙されていないが、この改定により、検挙数は増えるとみられる。

さらに、流通面での罰則も新設した。ナマコは卸売市場を通さず、加工業者と直接取引されることが多く、密漁品が出回りやすい。密漁品を割安で買い取る業者への罰則はこれまで存在せず、密漁ナマコの輸出の温床となってきた。

東北地区選出のある国会議員は「地元で『ナマコの密漁を根絶するには、買い手も叩く必要がある』と訴えたら、支援者の料理屋や業者は明らかに痛いところを突かれたようで、ギョッとしていた。密漁品を買っているな、と直感した」と話す。

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