クイーンのメンバーが幸せでいることが幸せ

ライブエイド舞台上のフレディ Photo by Getty Images

フレディの死後、ベースのジョン・ディーコンはほぼ音楽活動から引退し、今はロジャーとブライアンだけが「クイーン」の看板を掲げて活動している。2006年には元フリー、バッド・カンパニーのポール・ロジャースをボーカルに迎えて再出発したが、私自身は、ポール・ロジャースのボーカルは受け入れられず、ライブには行かなかった。その後、ボーカルにアダム・ランバートを迎えて「Queen with Adam Lambert」としてライブを開始した。私も2016年10月の武道館ライブには足を運んだ。

個人的には特に大好きだったジョン・ディーコンがいないことが本当に寂しいが、もともとクイーンというバンドはブライアンとロジャーが始めたバンドだったことを思えば、今の2人の活動は、ただ70年代始めに彼らがバンドを始めた時に戻っただけなのかもしれないと思えるようになった。

「私たちは家族だ」

ブライアンは、2012年10月から毎日のように、インスタグラムやツィッターで投稿を行っている。最近ではそれに刺激を受けたのか、ロジャーもインスタを始めた。つい先日は、ロジャーが自宅の庭に引き取ったフレディの像を見上げて「庭を歩き、旧友に挨拶する(A walk in the garden...saying hello to n old friend)」という投稿をしていて、ジンとしてしまった。大スターのリアルなつぶやきをじかに受け取れる時代が来るとは、フレディが亡くなった27年前には全く想像もしなかった。

ブライアンのつぶやきはロックスターとしてのこともあれば、天文学者としての時、一人の良き夫や父親としての時もある。時には英国政府を批判する政治的な発言や、動物愛護主義者としての呼びかけもある。世界的なロックスターが、大好きな星の話しを夢中でしている様子などを垣間見ることができると、「あぁ、ブライアンが嬉しそうで嬉しい」と優しい気持ちになる。なんとなく、クイーンのファンはみんな、フレディやロジャーをまるで親戚のちょっとイケてるおじさんのように感じているのではないかとこのごろよく思う。

ブライアン・メイのツイッター。Dr.Bryan Mayとなっている

私は今、大学院の博士課程後期に席を置いて博士号を取るために学んでいるが、研究が辛くてくじけそうになったときにはいつもブライアンが2007年にインペリアルカレッジで天文学の博士号を取ったことを思い出すようにしている。ロックスターの道を歩みながらも天文学者の道もあきらめなかったブライアンの生き方に、リアルタイムで励まされている。

もうフレディはこの世にいないけれど、ジョンも表舞台には出てこないけれど、ブライアンとロジャーの生き生きとした姿を見るだけで、毎日、幸せな気持ちになってしまう。この時代に生きていて本当に良かったと心の底から思える。この数年、ますますクイーンが好きになっている。

映画『ボヘミアン・ラプソディ』の中では何度も“We are family.”という言葉が出てくるが、実際、クイーンは一度もメンバーチェンジをせず、お互いを家族として大切にいたわりながらここまで続いてきた。ファンもそんな「家族」として扱って貰っているように感じる。

それぞれ世界の違う場所で違う人生を生きているが、みんなクイーンが好き。それだけで十分に「家族」なのだ。フレディには今もこんなにもたくさんのあなたを愛する「家族」が世界中にいるんだよ、と伝えてあげたいくらいだ。

この原稿を書きながら、ふとクイーンの曲がかかっていることに気づいた。息子たちがクイーンの曲を聴いていた。「胎教」はもちろん、子守唄のようにしょっちゅうクイーンを聴かせていた息子たちは、映画を観て、全ての曲を知っていたので驚いたと言っていた。「家族」には確かにしっかりと次の世代が育っている。