いつ解散してもおかしくない時

高校2年の1981年11月には、「グレイテストヒッツ」が発売された。その当時のクイーンには常に解散説がつきまとい、4人もバラバラに活動していて、いつクイーンが解散してもおかしくない状態だった。

来日公演があれば絶対に行きたいと思っていたが、1982年の来日公演はちょうど高校3年で大学受験を控えていたし、東京公演もなく、大学生になったら行こうと諦めた。しかし、無事に大学生になったというのにしばらくクイーンは活動を停止していて、なかなか来日公演はなかった。

ついに手に入れることができたのが、1985年5月の武道館公演のチケットだ。武道館2階のやや東側のスタンドの一列目という最高の席で、高校時代の友人4人で駆けつけた。フレディの声は高音があまりよく出ず、やや辛いものがあったように記憶しているが、それでも生のクイーンの演奏は絶叫ものの感動で、フレディの「レーロ!」に呼応して「レーロ!」と歌ったことは今も忘れられない。

「次も来日したら必ず行こうね!」とみんなで約束したが、その約束は実現しなかった。結局、その時のライブが最後の来日公演になってしまったからだ。

映画『ボヘミアン・ラプソディ』のラストに出てくるLIVE AIDはあの武道館のライブからわずか2ヵ月後だから、私が熱狂したあの武道館での4人の姿そのものなのだと改めて思うと、また思い出し泣きしてしまいそうだ。

ちなみにLIVE AIDは1985年7月13日に開催された、アフリカ難民救済を目的とした20世紀最大のチャリティーコンサートだ。日本でも中継されたはずだが、なぜか私には当時の思い出がない。午後9時から翌日正午までの放送という長丁場で、いつ誰が出てくるかわからなかったから、見ることができなかったのかもしれない。

1985年ライブエイドは20世紀最大のチャリティコンサートだ Photo by Getty Images

先日、ついに完全版のDVDを手に入れて観てみたが、クイーン以外に大好きでよく聴いていたバンドがたくさん出ていて、最後まで楽しめた。しかし、やはりいちばん素晴らしいのはクイーンの20分間だ。超シンプルすぎるステージをあれほど完璧に盛り上げ、スタジアムを興奮の渦に巻き込んだ20分間は、クイーンの最後の大きくていちばん美しい打ち上げ花火だったのだと思う。