反強欲・反グローバル資本主義という潮流で読み解くゴーン事件

首切り屋はどこまで大きくなったか
大原 浩 プロフィール

経営者が、自分はこれだけ頑張って実績を残したのだから、高額報酬をもらいたいというのであれば、 金額が明示された報酬で受け取ればよいのであって、姑息な手段、つまり不明朗なストック・オプションでごまかす必要は無い。

米国ではかなり前にこのストック・オプションに関して、バフェットと経営者たちの間で大論争があり、バフェットの親友、といっても親子ほど年が違うが、マイクロソフトのビル・ゲイツは、バフェットの教えに従って、それまで会計上明示されていなかったストック・オプションの費用を、決算書にキチンと記載し株主に見えるようにしている。
 
もちろん、バークシャーグループでは、買収以前にすでに実施されていた場合を除き、ストック・オプション制度は採用していない。

 

経営者報酬は従業員の20倍まで

ピーター・ドラッカーは、一般従業員が500万円だったら、経営者の報酬は1億円までにすべきだと述べる。平均1000万円の高給取りの会社でも2億円までである

それ以上の報酬は、累進税率によって多額の税金を払うだけで、手取りはそれほど増えない。ゴーン容疑者が、個人的な色々な費用を会社の経費に付け替えたのも税金対策である。

また、経営者に破格な報酬を支払ってとしても、業績を向上させる効果はない。1億円以上ももらっている人の給料を少々あげても、モチベーションをあげる費用対効果はとても少ない。

また、企業の取締役の間の給与格差が少ないほうが、会社の業績も良いことも述べている。つまり、一般の取締役が1500万円ずつもらっている企業で、社長が1億円もらっている場合よりも、社長の給与が2000万円の企業の方が業績が良いのである。ドラッカーは取締役同士の給与格差は25%以内が適当であり、何倍もの開きがあるのは論外としている。

社長との給与格差があまりにもあると、他の役員が委縮して、またはやる気を失って、働かなくなるのだ。

経営者の巨額報酬は「クラスメートが携帯を買ってもらったから、僕にも買って」式の隣を見るマッチポンプ式の理論で跳ね上がるだけで、その金額の絶対値にあまり意味は無い。