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一発勝負!貿易戦争停戦の可能性を探る「トランプ・習会談」の行方

「習が譲歩するなら…」

事前の「中国キーマン訪米」はご破算に

11月30日~12月1日にアルゼンチンの首都ブエノスアイレスで開催される主要20ヵ国・地域(G20)首脳会議に出席するドナルド・トランプ米大統領と中国の習近平国家主席のトップ会談に世界の耳目が集まっている。

世界経済の先行きに多大な影響を与える米中貿易戦争の「一時停戦」の成否を決定づけるからだ。

その成否の鍵を握るとされていたのが習国家主席の政策ブレーンである劉鶴副首相の米中首脳会談前の訪米であった。11月22日の感謝祭休暇のタイミングに合わせてワシントン入りし、カウンターパートであるスティーブン・ムニューシン財務長官と事前協議するためだった。

そしてムニューシン財務長官だけでなく、ロバート・ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表やラリー・クドロー大統領補佐官(国家経済会議委員長)にも会談すれば「一時停戦」の可能性が高まると、市場関係者は期待していた。

だが、劉鶴副首相の訪米は急きょ取り止めになった。その理由は、アジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議(11月17~18日にパプアニューギニアの首都ポートモレスビ―で開催)で行われたマイク・ペンス副大統領と習主席双方の熾烈な相手攻撃演説によって、APEC首脳宣言採択を断念せざるを得なかったことにある。

 

米国の演説前に「退席」した中国代表団

習主席は米国を名指しこそしなかったが、「保護主義と一国主義」を強く批判した。一方のペンス副大統領は中国の貿易慣行が不公正だとした上で「一帯一路」構想を「束縛、または一方通行の路」と断じたのだ。

【写真】APECの演説で中国を激しく批難したペンス副大統領(Photo by GettyImages)APECの演説で中国を激しく批難したペンス副大統領(Photo by GettyImages)

それだけではなかった。中国代表団は、習主席の演説が終わりペンス副大統領の演説がまさに始まる直前に退席したのだ。

首脳宣言が採択されなかったのは1989年の第1回会議以来、初めてのことである。米国は中国が首脳宣言に「不平等貿易慣行」に関する文言を入れることに反対したため採択できなかったと主張、中国は米国が世界貿易機関(WTO)批判の一文を盛り込もうとしたから採択できなかったと指摘するなど、さらなる激しい米中対立を引き起こしたのである。