検証・2つの技術がフェリーで3時間の離島「海士町」を蘇らせた

「CAS」と「遠隔授業」を現地ルポ
伊達 雄亮 プロフィール

その原理を下図に示します。

魚、肉などはたくさんの細胞でできており、その細胞一つひとつの中に「うまみ成分」と言われるものが含まれています。これをなるべく溢れ出ないよう閉じ込めたままにしておくことが鮮度を保つ秘訣です。

従来の冷凍技術だと腐敗による劣化は防げますが、このうまみが落ちてしまいます。

それでは、従来の冷凍技術の何が問題だったのでしょう? 魚や肉を冷凍すると、細胞の中にある水分も凍ります。細胞の中の水はさまざまな物質を溶かし込んでいますが、凍るときには水分子だけで塊をつくります。結果、細胞の中に大きな水の塊が生じ、これが細胞を包んでいる細胞膜を壊してしまうのです。

壊れた細胞膜から、せっかくのうまみ成分もしみ出てしまい、「冷凍すると味が落ちる」ということにつながっていました。

水分子が1ヵ所に集まって大きな塊をつくるのが問題の根本にあるならば、それを防げば解決できそうです。

CASでは、凍結させるモノに特殊な磁場と複数の弱いエネルギー (電波、音波など)をかけながら冷凍することで、凍るときに水分子が1ヵ所に集まるのを防ぎます。

これにより細胞膜が氷の塊で壊されることもなく、味も保たれるわけです。

マグロを凍らせた後、解凍した細胞の様子を電子顕微鏡で観察した結果が下の画像です。CASでは、細胞の形が保存されている様子が確認できます。

CASとマグロCASとマグロ

CASの導入により、海士町の岩ガキ「春香」や、シロイカなど、海士町の海産物のブランド化に成功し、漁師の方の収入の安定につながりました。実際に私も島の食堂でブランド岩ガキ「春香」をいただきました。濃厚で美味しかったです!

春香春香

日が暮れてきたので島内散策を夕方頃に終え、夜は「隠岐学習センター」にお邪魔しました。

高校生たちの「夢ゼミ」

隠岐学習センター(以下、学習センター)は、島内にある唯一の高校、隠岐島前高校と連携した公立の塾です。古民家を改装したカフェのようなスペースで、夕方になると高校生がぞくぞくと集まってきていました。