中国最高級ホテルの「ヤバイ秘密」を暴露した投稿動画の波紋

みんな薄々感じていたが
北村 豊 プロフィール

中国人はそもそも信用していなかった

ところで、中国のネットには数年前から「出張でホテルに滞在するなら、これを持参すれば衛生問題は解決できる」という題名の記事が繰り返し掲載されている。その記事の概要は以下の通り。

(1)旅行や出張に行く人がますます増え、ホテルは皆さんにとって出張中の臨時の家となっているが、ホテルの衛生問題はずっと人々を悩ましている。十分清潔に見えるホテルの客室には、我々には見えない非常に多くの細菌が隠れている。人々はホテルの客室に脚を踏み入れると、すぐに腹ばいになりたがるが、多数の腹黒いホテルのシーツは交換されていないことを知らねばならない。

(2)もし目立った汚れのないシーツは、一般にはしわを伸ばして交換なしで済ませることも多いが、万一前日の宿泊客に皮膚病などの問題があったとすれば、シーツに直接寝る貴方に病気が感染する恐れがあるので、使い捨てのシーツを持参することをお薦めする。また、シーツの汚れを完全に遮断するなら、簡易な寝袋を持参するのがベストでより安心できる。

(3)ホテルのタオルは、客室係が客室の清掃の際に物を拭くのにタオルを使うから、その衛生の程度は推して知るべしで、ホテル備え付けのタオルは使わずに、形状が小さい圧縮タオルを持参して使うべきである。

(4)コップ、石鹸やシャンプー・リンス類も、自分で持参した物を使うべきである。ホテルで最も汚いのは、電気湯沸かし器であるから、自分で持参した湯沸かし器で、外から買って来た飲料水を使って湯を沸かすべきである。

(5)トイレも客室係が清掃したと言っても、多数の人が使っていて衛生面で心配だから、使い捨ての便座シートを準備するに越したことはない。

 

花総は中国のホテル業界における衛生問題をコップの清掃に焦点を置いて動画「コップの秘密」を公開したが、実際の衛生問題はコップだけに止まらず客室内の全てに関わっている。

上述の記事に従えば、高額の宿泊費を支払って5つ星ホテルに泊まりながら、ホテル備え付けの品々は使わず、自分で持参したシーツ(あるいは寝袋)、タオル、コップなどを使い、果ては便座シートまで用意するとなると、何のために5つ星ホテルに泊まるのかはなはだ疑問である。しかも、宿泊費が安い4つ星以下のホテルでは衛生状態はさらに悪化するというのでは、何をか言わんやである。

中国と40年近く付き合い、中国国内の駐在や出張を通じて数多のホテルに宿泊したことがある筆者から言うと、ホテルの衛生問題に起因して病気になったという経験はないから、さほど目くじらを立てる問題ではないように感じるが、ホテルの衛生問題が繰り返し話題になるのは、中国社会がそれだけ進歩したということを意味していると思う。

15~10年くらい前までの中国ならば、ホテルの衛生状態が悪いのは普通のことで、誰も正面切って文句を言う人はいなかった。

それはともかくとして、今回、花総が問題を提起したことによって、ホテル業界の衛生状況が良くなるかというと、中国人の国民性から考えて容易には改善できないと思われる。

それは、客室係の業務状況を常に監視することは不可能であり、コップを例に挙げれば、清潔な布で拭いても、汚れた布で拭いても、コップの見た目は変わらないからである。人が見ていない所では、安易に走るのは人間の常だが、客室係もその例外ではないからである。

なお、中国のネットショッピングを調べると、ホテル宿泊用のシーツや寝袋が多数販売されていて、それなりの需要があることが分かる。衛生に敏感な人たちはとっくに自衛策を講じていたのだった。