雇用改善の恩恵もナシ…国が放置する「中年フリーター」という大問題

もはやロスジェネはあきらめ始めた
小林 美希 プロフィール

結婚もできない

では、中年フリーターの身に何が起きているのか。データをもとに二つの現実を見てみよう。

第一に、恋愛がままならないため、非婚・単身世帯が増えている。

2017年の「就業構造基本調査」(総務省統計局)によれば、35~39歳の正規雇用者では未婚率が24.7%に留まるのに対して、派遣・契約社員では60.6%、パート・アルバイトでは79.4%が未婚のままとなっている。

また、連合「非正規雇用で働く女性に関する調査2017」によれば、女性では初職(初めて就いた仕事)の雇用形態によって、結婚や出産に大きな格差が生じることが分かった。初職が正社員だと配偶者のいる割合は70.9%だが、非正規雇用だと26.9%に留まる。子どもがいる割合を見ても、初職が正社員だと54.1%だが、非正規雇用だと21.6%だ。

中年フリーターであっても、実家で親と同居し、親の年金や貯蓄をあてにできるうちは、まだしのぐことができるかもしれない。しかし、就職氷河期世代の親世代は、これから介護を必要とする年齢に差し掛かる。貧困は隣り合わせだ。

中年フリーターの親世代は介護を必要とするようになってきた〔PHOTO〕iStock

第二に、生活保護が破綻する未来が差し迫っている。

いうまでもなく、中年フリーターは同世代の正社員に比べて貯蓄が少なく、社会保険の加入率も低い。そのまま年金を受給する世代になると、月7万円に満たない国民年金しか受け取れない計算だ。

となれば、生活保護が視野に入ってくるだろう。ところが、日本の財政はそれだけのボリュームを支える状況にない。

生活保護の受給者は、2015年3月の216万人をピークに微減傾向にあるが、依然として210万人前後の水準にある。

受給者を年齢階層別に見ると、65歳以上の高齢者が45%近くを占めるが、40~49歳も約10%で10人に1人の計算だ。長年にわたり、40代より60~64歳の受給者のほうが多かったが、2014年には逆転している。中年層の受給者が増えている。

NIRA総合研究開発機構が2008年に発表したレポートでは、中年フリーターの増加によって、77万4000人の潜在的な生活保護受給者が生まれると試算していた。その結果必要となる追加的な予算額は、累計で約17兆7000億~19兆3000億円に上る。

同レポートが発表されてから、今年で10年が経過した。その間、いったい政治はどんな手を打ってきたというのか。