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49歳で小説家デビュー「元・食堂のおばちゃん」が大好きな本

山口恵以子さんの「人生最高の10冊」

本当は漫画家になりたかった

私はもともと漫画家になりたかったのですが、『ポーの一族』はそのきっかけとなった作品です。

この漫画は昭和47年3月から『別冊少女コミック』で連載が始まったのを、リアルタイムで読んでいます。初めて読んだときの衝撃といったら、ありませんでした。

人の血を吸い、バラを食べて生きる一族という設定が素敵でした。しかも主人公はエドガーとメリーベルという美少年と美少女の兄妹。時を超えて生きなければならない宿命を背負った彼らの物語に心酔し、ポーの一族になりたいと真剣に思いましたね。

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この頃から漫画を描き始めて大学時代は雑誌の新人賞に応募をし続けたのですが、まったく芽が出ませんでした。

一度ある漫画雑誌の副編集長さんが漫画を見てくださっておっしゃったのが、「話は面白いけど、絵が下手だから、あきらめたほうがいい」と。ここで気づいたのは私にとって大切なのは絵ではなく、めくるめく物語なのだということです。

その後は、漫画の道はすっぱりあきらめ、脚本家志望に転向して、大学卒業後は会社勤めをしながら、シナリオ学校に通うようになりました。

 

2位の『レベッカ』と3位の『風と共に去りぬ』は、卓越したストーリーテリングと魅力溢れるキャラクターで、私が物語のお手本にしている作品です。

2作のうち、『レベッカ』を上位にしたのは、自信に満ち溢れているスカーレットよりも、自己肯定ができず、前妻の影におびえ、花瓶の位置すら動かすことのできない主人公の「わたし」に自分が重なり、強い共感を覚えたからです。

杉の柩』はクリスティーの心理サスペンスのベストです。

愛し合うロディーとエリノアの前に美しいメアリイが現れ、ロディーの心は彼女に傾いていく。憎悪にかられるエリノア。そんな中、メアリイが毒殺され、犯人の嫌疑をかけられたエリノアを救ったのは、ポアロの頭脳とロードという医師の愛だった。

自分が愛する男と自分を幸福にしてくれる男は違うこともあるのだと、愛について深く考えさせられました。