高齢者になって持ち家がないとどうなる?「一生賃貸派」の残酷な末路

現役時代と同じようにはいきません
沖 有人 プロフィール

今さら実家に戻れるか?

今、東京・大阪・名古屋の三大都市圏に住む人の多くは、戦後に地方から移住してきた人たちとその子供世代、孫世代である。

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高度成長期の地方の農家では、長男が家を継いで実家に残り、次男・三男は家を出て上京するケースが多かった。都市に移住したのは、そこに仕事があったからである。

この人の流れは今も続いている。地方から都市への人口流入量が多くなるのは、地方で有効求人倍率が低く、都市部で高い時期と重なる。2018年現在は景気が好調で人手不足が取り沙汰される状況で地方でも求人倍率が高いため、地方から都市への人口流入は頭打ちとなり始めている。

地方から上京した単身者は、最初は会社が用意してくれた寮や単身者用のアパートに住み、結婚したら社宅か家族向けの賃貸住宅に移り、子供が大きくなってきたら住宅ローンを組んで通勤圏内に家を買う、というのがパターンだった。かつて言われた、庭付き一戸建てを「上がり」とする「住宅すごろく」である。

いずれにせよ二度と実家に戻ることはない。上京はいつの時代にも片道切符だった。

高度成長期までは単身者の多くは実家が地方にあったが、今は世代交代が進み、通勤圏内に両親が買った実家があるという人が多くなった。

そのようなわけで、今の単身者の半数は実家で親と暮らし、半数は実家から離れて一人暮らしをしている。

 

実家が地方にある場合はもちろん通勤圏内にあったとしても、一度家を出た子どもが親のいるうちに実家に戻ることは難しい。家族の誰かが同居をやめたら、帰ってくることはない前提で取り扱われるようになる。

私自身も親元を離れて久しく、実家には今も私が使っていた部屋はあるが、完全に物置と化している。自分が高齢になり定年を迎えたからといって、今さら実家に戻ることはできない人が少なからずいるだろう。

単身者が高齢で要介護状態となった場合は、一人暮らしは無理になるので、介護施設に入居することになる。

コストパフォーマンスが高いのは特別養護老人ホーム(特養)だが、それだけに非常に競争率が高く、普通はまず、すぐには入れない。

その他の選択肢としては民営の有料老人ホームがある。有料老人ホームは実際に要介護状態になっていなくても、健康なうちから入居可能だ。

ただし入居金だけで数百万かかり、入居後も毎月数十万円の費用が必要になるため、多くは企業年金で入居費をまかなえる人が入居しており、持ち家もない単身者には高嶺の花と言ってよい。

結局、高齢になって持ち家がないと、まともなところには住めないということだ。