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米中貿易戦争が、このまま「日中貿易戦争」に発展する強い懸念

そして、もしこの「戦争」に負ければ…

国際収支構造の変化に着目

中間選挙が終わり、トランプ大統領も政策の修正を示唆し始めたようだ。

「米中貿易戦争」(米中双方の実態を考えるとそのフレーズはミスリーディングだと思うが)でいえば、トランプ大統領は、中国に対する追加の制裁関税見送りを示唆する発言をするようになっている。

これを野球で例えれば、トランプの対中戦略は、「内角高めの直球」で打者をのけぞらせる局面から、「外角低めのスライダー」で空振り三振を奪おうとする局面に移行しつつあるのではないだろうか(三振を取りに行くわけなので「融和」や「妥協」ではない点に注意)。

日本のメディアの報道では、トランプ大統領は不規則発言が多いことから、政策も首尾一貫性がみられないとする意見が目立つ。だが、客観的にみる限り、ここまでのトランプ大統領の対中政策は概ね成功しており、中国は特に経済面でかなり追い詰められていると考える。

それを象徴しているのが、今年に入っての中国の国際収支構造の変化である。

図表1は、中国の国際収支統計だが、最も大きな変化は、今年は経常収支が赤字に転落する可能性が高まっているという点である。

中国の経常収支は1994年以来、主に貿易収支黒字の拡大によって黒字基調を維持してきた。特に、グローバル化の全盛期であった2000年代半ばにはGDP比で10%近い黒字を計上していた。

ちなみにこの時期は中国が実質で10%超の高成長を享受していた時期と重なる。だが、リーマンショック後、中国の成長率が6%台へ逓減していく局面で、中国の経常収支黒字も段階的に縮小し、ついに今年は赤字に転落する可能性が出てきたわけである。

 

直近(2018年7-9月期)の実質GDP成長率は前年比6.5%とまだまだ高いが、多くの人が感じているように、中国の実質GDP成長率は数字の推移があまりにも滑らか過ぎる。精査したわけではないのでなんともいえないが、中国のGDP統計をそのまま信用していいのかについてはやはり疑問が残る。

その点、国際収支統計は国際取引をベースにした統計で相手国のデータによるダブルチェックが可能でもあるし、複式簿記の原理で作成されているので、GDP統計よりも信頼がおける。

そして、この国際収支統計で中国の経常収支が赤字に転じつつあるという事実は、中国経済の行方を考える上で重要性を帯びていると考える。