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ゴーン事件は「日本の緩い企業文化」が生み出した弊害だ

これでは「やりたい放題」は当たり前

お手盛りのあらまし

日産自動車のカルロス・ゴーン代表取締役会長が、有価証券報告書に報酬を50億円近く過少に記載していたなどとして、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の疑いで逮捕された事件で、ゴーン会長が、側近のグレゴリー・ケリー代表取締役とともに、役員報酬を半ば「お手盛り」で決めていた実態が徐々に明らかになってきた。

役員報酬の総額は株主総会での承認が必要なものの、その分配については取締役会に一任されている。もっとも総額1億円以上の報酬を得た取締役については個別の金額を開示することになっているほか、取締役の報酬をどうやって決めているかについても、考え方を記載することなどが証券取引所のガイドラインで求められている。

日産自動車も有価証券報告書に役員報酬の決定方式について、以下のように説明されている。

「確定額金銭報酬は、平成20年6月25日開催の第109回定時株主総会の決議により年額29億9000万円以内とされており、その範囲内で、企業報酬のコンサルタントによる大手の多国籍企業の役員報酬のベンチマーク結果を参考に、個々の役員の会社業績に対する貢献により、それぞれの役員報酬が決定される」

また、役員報酬の決定方法として次のようにも記載されている。

「取締役の報酬については、取締役会議長が、各取締役の報酬について定めた契約、業績、第三者による役員に関する報酬のベンチマーク結果を参考に、代表取締役と協議の上、決定する」

 

ここでポイントになるのが、「第三者によるベンチマーク」である。総会で決議した総額以内で取締役会議長が代表取締役と協議して決めるとしているが、日産自動車の代表取締役は3人。ゴーン氏とケリー氏、そして社長の西川廣人氏である。

今回、逮捕された2人が事実上の決定権を握っていたことがわかるが、ここで強調されているのは、あくまで第三者である企業報酬コンサルタントの意見を聞いて個別の金額を決定していると強調しているのだ。

ところが関係者によると、ゴーン氏らは当初依頼した報酬コンサルティング会社の査定額が不満だとしてこれを排除し、より高額の報酬を示したコンサルティング会社に試算を依頼していたという。

いわばゴーン氏らが自らの報酬を半ば「お手盛り」で決めていた疑惑が浮かび上がってきたのだ。

高額の報酬額を査定したコンサルティング会社は、日産自動車の他の事業のコンサルティングも受託していたとみられており、報酬コンサルとして独立性が保たれているのか疑問だと、この関係者は指摘する。つまり報酬決定に際して意見を聞いているというコンサルの第三者性にも疑義が生じているのだ。