この手術、受けて本当に良かったのか...と患者が思った瞬間

答えはなかなか見出しにくいから
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完治だけが正解ではない

また、人生の残り時間を考えて、治療費や再発のリスクをどう考えるかも重要だ。医者の言う通りに治療を受け、こんなはずじゃなかったと後から嘆いても遅い。

狭心症の場合、ステント治療以外に、別の選択肢もあり、費用も再発リスクも大きく異なる。前出の岡田氏が言う。

 

「心筋梗塞や狭心症と言われた時に、患者が選択できる治療法は2つあります。一つは薬剤溶出性ステントを使った治療。狭くなっている血管部位に網状の筒を留置し、血液の流れを改善する治療法です。

この治療が現在主流となっていますが、もう一つ、冠動脈バイパス手術という、胸を切開し、詰まった血管に自分自身の血管をつないでバイパスを作るという手術もあります。

ステント治療の場合、入院期間は2~7日、費用はおよそ140万円。かたや冠動脈バイパス手術は本格的な手術ですから、入院期間は25日程度で、費用も220万~440万円がかかります。手軽さと費用で考えれば、ステント治療のほうが選択しやすいでしょう。

一方、『死亡または再発率』は、冠動脈バイパス手術がうまく行われた場合、ステント治療に比べて5年間で5割ほど低いのです」

平均余命がおよそ12年の75歳男性の場合、長時間にわたる大手術を受けて根治を目指すか、体力的に負担の少ない治療を選んで病気とつき合っていくか、自身の今後を考えて優先順位をつける必要がある。

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まだ現役であれば、短期間で治療が終わる治療を選択し、早期の職場復帰を目指すという考え方もあるだろう。

医療ジャーナリストの富家孝氏は、75歳をすぎたら、医者の言うことを鵜呑みにしないようにするべきだと提案する。

「国立がん研究センターは『10年生存率』を公表していて、前立腺がんの10年生存率は92.4%と比較的高い。前立腺がんは早期発見をしやすいがんですが、手術が必要かは疑わしい病気です。

早期発見してしまったがために手術をし、排尿障害や性機能障害という後遺症が残る可能性を考えると、高齢者の前立腺がんは放置しても問題ないと言えるでしょう。

がんが発見され、手術や放射線照射などの治療が行われた結果、かえって体を壊し、場合によっては命を縮めてしまうケースも数多くあります。

ある程度の年齢になったら、がんが発見されても落ち込むことはありません。どうやってがんと付き合っていくかを考えるべきです」

これからの人生をどう生きていきたいのか。手術の必要性を医師から指摘されたとき、問われているのは、あなたの「人生哲学」なのである。

「週刊現代」2018年11月17日号より