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「先生、その薬、本当に必要ですか」思い切って尋ねてみたら…

確かに嫌な顔はされたけど 

みんな不安になっている

いまや雑誌やテレビ、インターネットを見れば、誰でも簡単にすぐ病気や薬の情報を調べることができる時代になった。一方で、医療事故や薬の副作用についても、以前より格段に目にする機会が増えている。

特にふだんから病院に通っている高齢者は、「生活習慣病の薬を飲み続けると認知症が進行するリスクがあるらしい。自分の飲んでいる薬は大丈夫か」などと、不安を感じている人も少なくない。

しかし、いざ病院に行って、医師を前にすると何も言い出せない。先生の機嫌を損ねないようにと黙ったまま、いつものように薬をもらって帰るだけだという患者は相当数いるはずだ。

そこで高血圧のため通院している本誌記者(50代)が、患者を代表し、思い切って医師に「先生、その薬、本当に必要ですか」と聞いてみた。果たして医師はどんな反応をするのか。

 

場所は本誌記者が通う都内のクリニック(自分の職業が記者であることは明かしていない)。

時刻はもうすぐ昼の12時になる。待合室には、高齢の患者が数人いた。

30分後、受付で名前を呼ばれる。診察室の扉を開けると、分厚いメガネをかけた初老の男性医師が、椅子に座ったまま記者を見返した。

体型はやや太り気味。手にしたカルテをチラチラ見ている。

「調子はどうですか」とぶっきらぼうに語りかける。

(愛想がないのはいつものことだけど、今日は機嫌が悪そうだな)

現在、記者は降圧剤のカルシウム拮抗薬とα遮断薬を併用している。

「うーん相変わらず、ちょっと血圧が高めですね。薬を変更してみましょう。新しく出た『配合剤』(降圧剤+利尿薬)という二つの効果が一つに入った薬があるのでこれを出しておきます。ではまた1ヵ月後に来てください」

「じゃあ、お大事に」と医師が言いかけた瞬間、記者は意を決し、こう言ってみた。

「あの~、実は先生、最近、薬を飲むとめまいやふらつきがして……」

「寝不足か、加齢による感覚機能の低下じゃないですか」

「いや、自分で調べたんですけど、これ、薬の副作用じゃないですかね。ネットや週刊誌にも書いてありましたよ。降圧剤を飲みすぎると『低血圧』になるって」

「そういうこともあるけど、何?私の診断がおかしいと言いたいわけ?」

明らかに医師は不機嫌そうな面持ちだ。

「そういうわけではないんですけど、今日出してもらった薬って本当に必要なんでしょうか?」

思わぬ患者からの反論に、医師の顔はみるみる紅潮していく。

「いいですか、薬をちゃんと飲まないと血圧が上がって余計体調が悪くなりますよ。私の言うことより、週刊誌やネットの情報を信用されているのでしたら、どうぞ他の病院に行ってもらって結構です」

「いや、そういうわけではないんですけど……。でも最近、本当にフラフラするんですよ」

「わかりました。そこまで言うんだったら、薬を減らしてみますので、しばらくそれで様子をみてください」

相当不満そうだったが、最終的には薬を減らすことができた。が、「何かあっても、自己責任ですからね」と最後に釘を刺された。