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「言い出しにくかったけど…」医者を替えて正解の場合もある

病院だって替えて正解の場合も

時として医者と患者の間には格差や行き違いが生まれる。患者はどういう「心構え」で、医者と付き合っていけばいいのか。聞きたくても普段なかなか聞けない医者の本音に迫る。

何度替えてもいい

「医師からは、手術か放射線治療を勧められました。僕の中には、手術の選択肢はなかったので、ならば放射線治療をしようと考えました」

こう語るのは、'80年代に巨人の抑え投手として活躍した角盈男さん(62歳)。角さんにがんが発覚したのは、2014年のこと。人間ドックを受けたところ、前立腺がんが発見されたのだ。

「医師からは『前立腺がんは、いろんな治療法があるので、勉強して、奥さんと決めてください』と言われました。

手術を拒否したのは、知人から術後、『尿失禁』になって、オムツが必要な状態になることがあると聞かされたからです。

それに手術を受けるとなると一定期間入院しないといけないし、退院後も、すぐに以前の生活には戻れない。僕には向かないと思いました」

そこで、自ら前立腺がんについて調べていくうちに、「重粒子線」というピンポイントでがんを攻撃できる、より高度で先進的な放射線治療があることを知った。

「保険が利かないので治療費が300万円もかかるのがネックなんですが、幸い女房が先進医療特約付きのがん保険に入っていてくれたので、自腹を切る必要がないことがわかり、やってみようと思ったのです」

 

角さんは、最初の病院での治療を断り、千葉市にある重粒子線治療を行っている病院を訪ねた。

ところが、医師から治療方針の説明を受けたところ、その内容はイメージと異なるものだった。

「すぐに重粒子線治療を受けられると思っていたのですが、まずはホルモン療法を半年間やらなければならなかったのです。しかも、重粒子線をやってくれるこの病院ではホルモン療法はできない。

仕方なく一度治療を断った病院に戻って、ホルモン療法を受けることに。個人的には『また戻るのはどうなんだろう』と思いましたが、3ヵ月間ホルモン療法を続けました」

そんな折、友人から「トモセラピー」という治療法があるという情報が入った。トモセラピーとは専用コンピュータにより、がん組織に高い放射線量を与え消滅させ、隣接する正常組織には放射線量を低く抑える治療装置のことである。

昨今、東京大学医学部附属病院や順天堂大学医学部附属浦安病院などの大病院にも導入され始めている。

「最初は、怪しいメンタル系のセラピーかと思ったのですが、よくよく調べたところ、ホルモン療法を併用しなくてもいい上、がんのある病巣に絞って放射線を照射するので身体への負担も少ないことがわかったのです。

重粒子線治療を断りに行ったときは『またやりたいと言われても1年以上できませんよ』と軽く脅されましたが、『いいですよ』と答えて、すっぱりとトモセラピーに切り替えました」

トモセラピーは、保険診療でまかなうことができるので、金銭面の問題もクリアした。

治療は専門のクリニックに約1ヵ月通い、合計15回を照射。副作用もなく、腫瘍マーカーの数値も正常に戻り、見事、前立腺がんを克服する。

角さんは実際に足を運び、自分の耳で聞いて、自分でいいと思った治療を選択。それが最良の結果を呼び込むこととなったのは言うまでもない。