成長する企業の経営者に共通するのは、常に危機感を持っていることだ。
そして、社内にどう危機感を植え付けていくのか、そのメカニズムを考えている。何よりも、会社の有する問題を共有し、存続の危機にあることを社内で顕在化させる文化を醸成している。
近藤正樹も同様、社内に危機感を持たせることに心を砕いている。
近藤が社長に就任するまでの4年間、日本ケンタッキー・フライド・チキン(KFC)の業績は低下の一途をたどっていた。
そこで近藤は、「100日プラン」として100日間で達成すべき自社の課題を明確化し、その後、克服すべき方策を講じていった。
近藤がとりわけ危惧したのは、「現場と本部の距離感」であり、当事者意識の欠如からくる「待ち」の姿勢だった。
そのため、①現場と本部の一体感を醸成し、現場力を強化すること、②挑戦することを評価し、「攻め」の姿勢へ転じること──を競争力強化のための不可欠条件とした。
近藤はこうした方策を全社で共有することに心を砕く。
毎年、全国各地で店長・店幹部との対話会「社員懇談会」を二十数回、開催するのはその証左だ。
近藤は常々、全国1150店を顧客が満足し、喜ぶ店にするためには、3万人の全従業員がいかに生き生きとして働くかがキーポイントだと考える。
そのため、社員のモチベーションの向上に腐心する。モチベーションが高まれば自ら感じ、気づき、動く。では、どうすればよいか。