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新4K・8K放送、テレビ局もテレビメーカーも「やる気なし」のワケ

12月1日からスタートするそのウラで

新4K・8K衛星放送が間もなく始まる、そのウラで…

現在のハイビジョンを超える新映像規格と謳われる4K・8K。

その「新4K・8K衛星放送」の開始まで残すところわずかとなった――。

12月1日からNHKと民放キー局のBS4局などで放送開始するとあって、4K・8K衛星放送への期待感は膨れ上がっているように見える。

11月14日より3日間にかけて幕張メッセで行われていたメディア&エンターテインメント総合展示会『InterBEE2018』でも、これを喧伝する展示やセミナーがいくつもあった。

が、実はこの直前のタイミングで、いまだ肝心の新4K・8K衛星放送に対応したテレビがほとんど普及していないという現実をご存じだろうか。

新放送を始める民放各局にしても、ピュア4Kと呼ばれる本来の画質を100%活かした番組はあまり制作せず、2Kで撮影したものをアップコンバート(高画質変換)してお茶を濁す見込みである。

このままでは12月1日から超高精細の4K・8K衛星放送が始まるというのに、実際はそれを見られるテレビを保有している人がほとんどいない。そればかりか、本当の高画質番組もあまり準備されてないという暗澹たる状況になりそうなのだ…。

この1年、総務省や内閣府の議論では電波の有効利用が盛んに言われてきたが、このままでは新4K・8K衛星放送の開始が「電波の無駄遣いの最たるもの」になりかねない。いま何が起こっているのか、なぜこんなことになってしまったのか、各種データと筆者の取材から解説したい。

 

4Kテレビの普及は「目標の3分の1」という現実…

そもそも新4K・8K衛星放送については、2014年9月に発表された総務省検討会の中間報告で、普及目標とそのロードマップが示された。これによると、4Kテレビの世帯普及率は2020年の東京オリンピック時に50%を超え、「多くの視聴者が市販のテレビで4K・8K番組を楽しんでいる」と明記されていた。

ところがふたを開けてみると、目標と現実には大きなギャップがあった。

中間報告が出された14年、4Kテレビは90万台の出荷が見込まれてたが、実際には3割以下の26万台にとどまった。また17年末までの累積目標は1070万台とされていたが、現実は367万台しかいかなかった。目標の3分の1である。

4Kテレビが「不人気」である本当の理由

なぜ4Kテレビは普及しなかったのか。

その背景には、テレビ全体の出荷量に見誤りがあったことが挙げられる。

実は、テレビ全体の出荷量は2000年代には年間1000万台近くあったのが、13年には534万台に落ち込んでいた。それなのに検討会は、14年以降にこれが挽回して、2020年には820万台まで増えると見込んだ。もちろん現実のテレビ出荷量は増えるどころか17年まで減り続け、427万台となった。

もともと、家庭にあるすべてのテレビが「10年サイクルで買い換えられる」と楽観視していたのが間違い。というのも、多くの家庭が子供部屋や寝室にあった2台目以降のテレビを買い替えなくなった。スマホやタブレットで事足りてしまうようになり、もはやテレビはスマートデバイスに圧倒され始めているのである。