# 老人ホーム

何を失い、何を得るのか…老人ホームに「入れる・入る」決断を考える

早く決めねば手遅れになる
週刊現代 プロフィール

ただし、「入れる」ことを決めても、トラブルは頻発する。恋愛沙汰もそのひとつだ。岡田恭一氏(50歳・仮名)の父親(77歳)は、心臓に持病を抱える妻の入院を機に、老人ホームに入所したが、予想外のことが起こった。

「同い年くらいの女性がショートステイで入ってきたのですが、彼女と親父がいい仲になってしまったんです。トイレの中で、親父とその女性がキスをしていたと職員に聞かされました。

相手は自宅に戻りましたが、老いらくの恋は容易には冷めず、親父は電話番号を控えていて、こっそり先方に電話して、ときどき話していたのです。

向こうの娘さんが心配して私に電話があり、話し合った結果、電話番号を書いたメモを捨てました。父もいずれ忘れるでしょう」

 

また、大きな誤解が「看取り」だ。老人ホームは、必ずしも終の棲家にはならない。青森県在住の木田逸郎氏(61歳・仮名)の母(89歳)の場合。

「母は、老衰でこの春からほとんど食事をとらなくなったのですが、施設は『食事をできない方は、他の介護療養型医療施設に移ってもらうことになっている』と言う。そこでやむをえず転院を了承したのです」(木田氏)

高齢者住宅情報センター大阪センター長・米沢なな子氏も言う。

「多くの方は、『最期まで看取ってくれるところがいい』と要望されますが、一般の居室から、介護状態で住み替えができ、終生住める老人ホームはたいてい高額です。

介護度の上がり具合によっては、住み続けられないケースもあることは知っておくべきです」

ふだんは個室に比べて忌避されがちな特養や老健施設の「多床室」も視野に入れるべきというのは、NPO法人「二十四の瞳」代表の山崎宏氏だ。

「有料老人ホームは基本的に個室のため、亡くなってから発見されることさえある。要介護状態では、むしろ多床室のほうが、職員の目に触れやすく、リスクが減ります」