# 老人ホーム

何を失い、何を得るのか…老人ホームに「入れる・入る」決断を考える

早く決めねば手遅れになる
週刊現代 プロフィール

親の気持ちか、子の生活か

両親2人だけで暮らしていて、子どもが離れて住んでいるというケースでも、問題は深刻だ。千葉県在住の西川幸雄氏(60歳・仮名)の両親は、ともに80代で、山口県内の実家で2人暮らしだ。

「母が大腿骨を骨折し、歩けなくなりましたが、自宅が古く、車椅子を家の中に入れることもできない。父は元気ですが、一切家事ができず、ヘルパーさんに来てもらっています。

母だけを施設に入れることを考えたのですが、すると元気な父のところへはヘルパーさんが来てくれないので、父が困ってしまう」

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そこで、両親をともに老人ホームに入れようとしたが、父が猛反対した。

「俺は母さんとここに住む!なんで俺が病人と一緒にされないといけないんだ!」

当の母親自身も、本誌にこう語るのである。

「私も、できれば自宅で死にたいんです。施設を見学しましたが、認知症患者の方ばかりで、とても生活したいと思えませんでした。周囲に迷惑をかけているとは思うものの、夫のことも心配ですし、今のままでいたい」

 

だがこのままでは、夫婦共倒れになりかねない、と西川氏は危惧する。

親は自分の人生は自分で決めたいと願う。それが「家に住み続けたい」という選択だったとき、老人ホームに「入れたい」と思う子は、究極の決断を迫られる。親の気持ちか、自分たちの生活か、どちらをとるのか――。

妥協点は、早めに見つけねばならない。介護福祉トラブル解決専門の外岡潤弁護士は、「親を施設に入れるには、切羽詰まってからでは遅い」と言う。

「最終的に在宅介護で行くか、施設に入れるか。あるいは親が遠距離なら呼び寄せるか。5年先までシナリオを練るべきです。状態が悪化してから安易に施設選びをすると、けっきょく後悔します」