新宿歌舞伎町に出現した「ゴジラヘッド」 Photo by Getty Images

眠っていた「ゴジラ・ビジネス」がいまブレイクした理由

キャラクタービジネス成功の謎を解く

2014年にはハリウッド版『GODZILLA』、2016年には『シン・ゴジラ』が大ヒット。新宿のホテルに作られた「ゴジラヘッド」なる等身大ゴジラの頭は新宿のシンボルになり、渋谷PARCO取り壊しのときにもゴジラが襲来。キャラクターショップでは月商1000万円を超え、しかも新たに「ちびゴジラ」なるキャラクターまで登場している。

ハリウッド版は2019年、2020年と公開が予定されており、2019年5月公開予定の『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』の期待値は高まる一方。2020年の『ゴジラVSコング(仮題)』には小栗旬が出演することも報じられて話題を呼んでいる。 

さすが、国民的怪獣「ゴジラ」――と言いたくなるが、実は1954年に誕生したゴジラが「キャラクタービジネス」としてここまで活発になったのは、ここ数年のことなのだという。ジャーナリストの佐々木俊尚さんがその背景に迫った。

1954年11月3日に公開されるや、961万人以上を動員し、国民的映画となった『ゴジラ』。11月3日が「ゴジラの日」と設定され、「ゴジラ・フェス」が開催されるようになったたのはつい数年前のことだった 写真提供/東宝 

「特別すぎる存在」を扱えきれなかった

映画会社の東宝にとって、ゴジラというのは長年にわたって「特別すぎる」存在だった。

そもそもゴジラが他のキャラクターと異なるのは、東宝という会社がキャラクターとしてのすべての著作権を保持していることだ。

東宝は1954年からゴジラ映画を30作もつくり、ゴジラというキャラクターは宝物だった。しかし宝物すぎて、扱いは難しかった。東宝の伝統であり、特別な存在であり、ゴジラについての大きな企画は社長決裁が求められた。唯一無比の存在だから、他のキャラクターとのコラボレーションもできなかったのだという。「ウルトラマンvsゴジラ」とか「仮面ライダーとゴジラが決戦」なんていう他キャラとのコラボ企画は成立しなかったのだ。

これほどまでに東宝社員にとってゴジラは「格式の高い案件」で、気軽に扱えるようなものではなかったのである。

とはいえ、20世紀のころは映画やアニメのキャラクターの権利をきちんと管理しようという意識はまだ薄かった。知財(知的財産)やIP(Intellectual Property)などという言葉が普通に使われるようになったのは、2003年に知的財産基本法が施行されるなど法律も含めたあれこれが整備されてきた21世紀になってからのことだ。

だからゴジラは特別だった割には、その知財としてのキャラクターをどう守るのかということはあまり厳密には考えられていなかった。だから1998年にゴジラがアメリカで映画化されたときには、東宝サイドはクリエイティブの部分を基本的にハリウッドに任せていた。

結果としてハリウッドゴジラは「ありゃゴジラじゃなくトカゲだよねえ」と日本のみならず、世界の多くのゴジラファンには落胆される結果となったのだった(興行的には成功したようだが)。