南海トラフ巨大地震「その瞬間」の行動が生死を分ける

状況別の最善策はこれだ
週刊現代 プロフィール

《病院》自力で動けないのに

「多くの病院には非常用の電源がありますが、あくまで一時的なものです。南海トラフのように広範囲で地震が発生すれば、発電所や送電所が被害を受け、復旧まで時間がかかる」

こう語るのは、災害心理学者の広瀬弘忠氏だ。

地震が起きた際に、病院に入院していたり、老人ホームで介護を受けていれば、容易に避難行動をとることはできない。

さらに、電気系統が壊滅してしまえば、人工透析器などの機器が停止してしまう。

 

こうした状況で生き延びるには、どのような対策を取ればいいのか。

高知県では、南海トラフ地震で5万人の死者が出ると推定されている。同県内にある病院の広報担当者が話す。

「当院では、1000人程度が2週間程度の期間留まることを想定して、飲食料、非常用の敷布団、毛布を用意しています。

ただ、緊急を要する患者様が多く運び込まれてくることも想定されるため、症状が重篤な順に対応をさせていただく形となることを想定しています」

災害時の病院は、次々に重篤な患者が運び込まれてくるため、生死の境をさまよう患者たちの一時的な避難所となることが想定されているのだ。もともと入院していた患者が抱えている病や怪我に関しては、治療が後回しにされてしまう可能性もある。

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さらに危惧されるのは、風邪やウィルスなどのリスクだ。あまりに多くの怪我人が集まる病院では、一人が感染するだけで、数十人、数百人が集団感染を引き起こすこともある。

こうした状況にすぐに対応するには、事前に信頼のおける移送先を考えておくべきだ。

「'16年の熊本地震の際は、治療が必要な患者を別の医療施設に移送することもできませんでした。

場合によっては、看護師のいる福祉避難所に受け入れてもらえる場合もあります。その施設の受け入れ条件などを事前に確認しておくとよいでしょう」(前出・和田氏)

入院している時は、自治体に確認したうえで、事前に近隣の「脱出先」を確保する。この差が、生き残るための重要なカギとなる。