南海トラフ巨大地震「その瞬間」の行動が生死を分ける

状況別の最善策はこれだ
週刊現代 プロフィール

《新幹線》時速285キロで走行中

東海道新幹線は、最高時速285kmで走行する。地震が発生した際、すぐに停車するのは困難であるように思える。

しかし意外にも、地震が発生した際、新幹線は通常の電車よりも安全に停車することができるという。

「新幹線沿線には、地震の初期微動によりただちに地震情報を推定できる早期検知地震計が設置されています。これと緊急地震速報をあわせて、自動で非常ブレーキがかけられる仕組みが搭載されています」(JR東日本の広報担当者)

地下鉄をはじめ、ほとんどの電車では、地震発生の際、地震速報を受け取った乗務員が手動でブレーキをかける。

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いっぽう、新幹線は初期微動を感知して2秒で減速を始めることができるため、大きな揺れが来る前には減速態勢に入っているのだ。脱線による事故は起こりにくい。

しかし、新幹線には、在来線や地下鉄などにはない「二次被害」の危険がある。エレベーターと同様、密室空間に閉じ込められてしまうことだ。

走行に必要な電力が大きい新幹線は、停電すると復旧まで時間がかかる。また、路線によっては駅間が大きく離れている場合もある。

つまり、送電線に損害があれば、車内に閉じ込められてしまう危険性があるのだ。大阪北部地震の際は、新大阪から新神戸へと向かう線路上で、5時間程度立ち往生する車両があった。

新幹線の車両では、安全のため、ほとんどの窓が開かないようになっている。夏場、炎天下に長時間晒されれば、空気の入れ替えができない巨大な鉄の塊は、たちまちサウナのような状態になってしまうだろう。

 

同じく窓が開かない、ゆりかもめで起きた実例をもとに、前出の和田氏が警告する。

「'06年8月に東京大停電が起きた際、ゆりかもめが停まりましたが、この時は冷房も利かず、窓も開けることができなかったため、車内温度は40度を超えたそうです。普段からペットボトルや水筒を持っておくなど、事前の用意があるとよいでしょう」

いくら暑くても、無闇に線路に降りようとすることでかえって危険を招く可能性があるのは、電車と同じだ。

とくに新幹線の場合、車両と線路わきの部分のスペースが狭くなっている箇所が多い。安易に線路に降りようとすれば、地震で損傷した高架から落下する。

「条件によっては、最徐行で最寄りの駅まで車両を動かすことができる場合もあります。乗務員が指示するまでは、車内で動くことのないよう、お願いしています」(前出・JR東日本広報担当者)

緊急時は車内販売用の飲食料などの提供も検討されているというが、数には限りがある。物資の供給が十分とはいえない以上、和田氏の提唱する通り、日ごろから長時間の乗車の際は、最低限の飲食料を携帯しておくべきだ。