南海トラフ巨大地震「その瞬間」の行動が生死を分ける

状況別の最善策はこれだ
週刊現代 プロフィール

《エレベーター》閉じ込められた。息苦しい

エレベーター内で被災した場合は、どのような行動を取ればいいのか。日本エレベーター協会の広報担当者が言う。

「もっとも重要なのは、揺れを感じた瞬間に、すべての階のボタンを押すことです。

災害時は安全のため、エレベーターは一度停まった後、時間をおいて人が入れないように扉が閉まることになっています。電気系統の故障で非常ボタンが機能しなくなることもあるので、内部に留まらず、速やかに脱出してください」

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だが、巨大な地震となれば、エレベーター内に閉じ込められてしまった時のことも考えておく必要がある。

内閣府の南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループの試算によれば、南海トラフ地震では全国で1万件以上も、閉じ込め事故が起こると推定されている。

大阪北部地震の際は、閉じ込められてから脱出するまでに、平均して35分程度の時間を要した。だが、南海トラフでは、全国の湾岸部にある発電所や送電所が津波による被害を受けることで、復旧までに数時間を要する可能性もある。

仮に閉じ込められてしまった場合、もっとも避けねばならない行動は、扉を無理に開けたり、映画のように天井部から脱出しようとすることだ。

 

前出の和田氏が語る。

「エレベーターの扉は頑丈なので、人力で開けられるようなものではありません。非常ボタンや携帯電話がつながるかを定期的に確認しつつ、体力を温存して救助を待つのが安全です」

動けば動くほど体力はなくなる。密室空間では酸素が減り、息苦しくなる。静かに座って、救助を待つのが賢明だ。

また、閉じ込められている時に、排泄を我慢できなくなることも考えられる。けっして恥ずかしがらずに、同乗した人と話し合い、レジ袋や鞄を貸してもらって済ましてしまおう。

一度停止したエレベーターは、外部から技術者の点検を受けない限り開かない。慌てて不用意に動くことはせず、落ち着いて電気系統の復旧を待つ。そのうえで、非常ボタンを使用して外部と連絡を取るのが、脱出のための安全な方法だ。