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南海トラフ巨大地震「その瞬間」の行動が生死を分ける

状況別の最善策はこれだ

150年に一度の超巨大地震は、もうすぐそこまで迫っている。その時にあなたがいる場所は、果たして安全か。さまざまな状況ごとに、大災害を生き延びるための最善策をシミュレーションする。

《地下鉄》気をつけろ! 感電するぞ

政府の地震調査委員会が、今後30年間での南海トラフ地震発生率を「80%」と発表しているのは周知の通りだ。

しかし、本誌が10月27日号で報じたとおり、南海トラフ地震はもはやいつ発生してもおかしくはない。その被害は日本の太平洋側に広く及ぶものである。

南海トラフ地震研究の第一人者である、立命館大学環太平洋文明研究センターの高橋学氏が語る。

「次の南海トラフ地震は、茨城県からフィリピンまで、2000km以上に及ぶ規模で発生する可能性があります。推定の犠牲者数は、全国で33万人以上になります」

'11年に起きた東日本大震災の20倍以上の数の犠牲者が見込まれているのだ。

未曽有の大災害は明日にも迫っている。生き延びるために必要なのは、その時取るべき行動を事前に知っておくことだ。状況別に、どうすれば危機を回避できるのかを紹介しよう。

 

まずは、地下鉄をはじめとする電車内で被災した場合だ。この状況で、まず危険なのは「圧死」である。災害危機管理アドバイザーの和田隆昌氏によれば、地震発生直後の一瞬の行動が生死を分けるという。

「地震が起きた際、電車は緊急停車することが決められています。急ブレーキをかけられた電車が脱線したり衝突したりすれば、乗客は反動で電車の進行方向に投げ飛ばされてしまいます。

その結果、大勢の人の下敷きになって死亡することもあるのです。車内の緊急放送を聞いたら、すぐに手すりに掴まり、投げ出されないよう身体を保持するようにしてください」

仮に近くに手すりがなかった場合、頭を抱えながらしゃがみ込むことで、車両の前方に投げ出されるリスクは軽減される。

電車が緊急停車したあとは、降車した乗客が線路を歩いて避難するイメージを持つ人は多いかもしれない。だが、自分の判断だけで電車から降りてしまうのは、非常に危険だ。

とくに、電気系統の乱れによって、視界が保証されない地下鉄の線路は、無闇に歩こうとしてはいけない。線路脇に流れている高圧電流に接触して、感電死してしまう危険性がある。

「停電した場合でも、非常用バッテリーが搭載されているため、最寄りの駅まで走行することが可能です。慌てることなく、乗務員が走行不可能と判断した場合のみ、線路上へ避難してください」(東京メトロ広報担当者)

それでも、電車が動かず、乗務員の誘導も期待できない状況になった場合のために、地下鉄トンネルの側壁には、最寄り駅の方向と距離が標示されている。感電を避けるため、なるべく線路中央を歩いて、最寄りのホームまで向かおう。

ホームで被災した場合も、慌てずに駅の緊急放送に耳を傾けるべきだ。駅外部の建物が倒壊し、歩き回れる状況にないかもしれないからだ。

基本的に、地下鉄や在来線の駅構内は震度7クラスの地震にも耐えられるように、耐震補強がなされている。さらに、駅にはある程度の備蓄品が用意されている。

いきなり徒歩で自宅へ向かおうとせずに、駅舎内で情報を収集しつつ、飲食料をもらえるチャンスを窺うほうがいい。

「帰宅困難者対策として、駅に飲料水やアルミブランケット、簡易マット、携帯トイレを計10万人分用意しています。また、緊急時には各改札口に設置されたディスプレイで常に、非常災害時緊急放送を確認できるようになっています」(同前)

けっして焦らずに、状況を見極めてから脱出しよう。