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アイリスオーヤマが「革命的価格」でテレビを販売できる舞台裏

なぜ他の家電メーカーにはできないのか

アイリスオーヤマがテレビの販売を開始した。同社は昨年、家庭用エアコンを発売し、好調な売れ行きを見せたのだが、最大の理由は消費者ニーズに合った価格設定にある。

これまで日本の大手メーカーと量販店各社は、従来の利益率を維持しようと、高価格の製品を無理に消費者に売りつけるという販売戦略を続けてきた。しかし、家電やAV機器は完全にコモディティ化しており、こうした昭和型のビジネスモデルはもはや通用しなくなっている。大手メーカーは従来型の価格戦略について抜本的に見直す時期に来ている。

 

家電はもはや完全な「コモディティ商品」

アイリスオーヤマはテレビ7機種の販売を11月22日から開始すると発表した。販売価格は4万9800円〜14万8000円、高画質な「4K」に対応した55型製品は10万円前後の価格設定となっている。同じスペックの大手日本メーカー製品は十数万円することが多く、この価格帯には韓国メーカーや中国メーカーの製品が並ぶ。アイリスの価格設定はリーズナブルといってよいだろう。

同社は昨年、家庭用エアコンの販売を開始しているが、エアコンの価格設定も今回のテレビと同じだった。価格帯を6万9800円から9万9800円の範囲に抑える一方、上位機種には無線LAN(Wi-Fi)と人感センサーを搭載した。人感センサーは人の有無を自動的に検知して運転をコントロールする機能だが、従来は高価格製品にしか搭載されないケースが多かった。Wi-Fi機能もスマホ世代の利用者としては欲しい機能のひとつである。

利用者が欲しい機能に的を絞り、それなりの価格で販売するというのが同社のやり方であり、一言で言えば「コストパフォーマンス」を重視したプライシングといってよいだろう。

こうした価格戦略を採用する製品が売れるのは、家電やAV機器といった製品が、完全にコモディティ化したからである。コモディティ化というのは、技術が一般化することで機能や品質による差別化が難しくなり、商品選択の基準が価格に絞られてくる現象のことを指す。簡単に言ってしまえば、高い付加価値がなくなった商品ということである。

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アイリスオーヤマは、もともとプラスチック製品を主力とするメーカーだったが、2009年に小型家電の分野に進出。昨年にはエアコンという白物を手がけるまでになり、今年はAV機器への進出も果たした。白物から黒物までを揃えた総合電機メーカーに脱皮したわけだが、異業種からの参入が容易に実現できたのも、家電やAV機器に関する技術が一般化したからである。