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日本人は知らない、世界中の金持ちが「アート」を買う本当の理由

政府に知られることもなく売買している
岡村 聡 プロフィール

「自分の感性に合うアーティスト」を深堀りする

アジアの新世代コレクターの特徴としては、気にいったアーティストの作品ばかりを深堀りするという特徴もあげられます。

欧米のコレクターが時代やアーティストを問わず自分の好きなテイストの作品をアートの進化の文脈に沿って網羅的に買おうとする一方、アジアの特に現代アートのコレクターたちは気に入ったアーティストの作品を歴史上の重要性に関係なく多数買うというトレンドが見られます。

 

例えば、草間彌生についてはフィリピン人のカマチョ夫妻が有名で、04年に初めて彼女の作品を見て気に入り、05年からシンガポールをベースに作品を購入し始め現在では100以上の作品を収集していますが、現在の価値は購入時の平均して20~30倍になっているようです。

草間彌生氏〔photo〕gettyimages

日本でも東京で銀行員をしていた黒河内俊さんが20年以上かけて収集してきた奈良美智の作品が13年にサザビーズの香港のオークションにかけられ、35点の作品が合わせて5億円以上で競り落とされるなど、自分の感性にそって収集した作品がアジアのコレクターの間での人気の高まりとともに大きく価値が上昇するということが起きています。

奈良美智の作品〔photo〕gettyimages

アート投資というと大富豪やセレブだけのものと思われがちですが、一般の人でも入手できる数万円~数十万円の作品が時と共に高い評価を受けるようになり、数百倍・数千倍に価値が上昇するというダイナミズムがあることも魅力です。

知られざるアートの保管庫「フリーポート」

欧米では資産を何世代に承継していく上でアートというのは常に重要な投資対象でした。欧州の王族や貴族、大富豪といった資産家たちは長い歴史において度々戦争や巨大な災害に見舞われてきましたが、単位質量当たりの価値が極めて高く、運びやすい美術品は資産を長く承継していく上でうってつけの資産だったのです。

そうした美術品の魅力を凝縮したような施設がシンガポールにあり、先日視察しました。それは「フリーポート」と呼ばれる施設で、この施設の運営会社は他にもスイスにも同様の施設を持っているらしいですが、シンガポールのチャンギ空港のプライベートジェットターミナルから、イミグレでのチェックなくアートや金塊といった資産を持ち込めます

日本ではその存在はほとんど知られていないでしょう。

下記が、私が現場で撮影してきたそのフリーポートの外観になります。

〔photo〕著者撮影