# アート

日本人は知らない、世界中の金持ちが「アート」を買う本当の理由

政府に知られることもなく売買している
岡村 聡 プロフィール

35年で2000倍以上、10年で300倍以上になる作品も!

価格が高騰しているのはルネッサンス期や印象派の巨匠の作品だけではありません。上記のバスキアに代表されるように現代アートの作品も大きく上昇しています。

バスキアは17歳のころから書いていたNYのスラム街の壁にスプレーで書いていた作品が有力な画商の目に留まり、本格的な制作活動を開始し、巨匠アンディ・ウォーホルとの共同制作も行いますが、ウォーホルの死をきっかけとして深刻な薬物依存となり、1988年に27歳の若さで亡くなります。

ジャン=ミシェル・バスキア〔photo〕gettyiamges

皮肉なことにアーティストが若くして亡くなると作品の供給がそれ以上されないことで価値が高騰しますが、バスキアはその最たる例で存命中の1983年に1.5万ドル(約170万円)で購入された絵画“Flesh and Spirit”は今年5月のサザビーズのオークションでなんと3,070万ドル(約34.7億円)で競り落とされました。35年で2000倍以上という価格上昇率です。

日本人の現代アーティストでも2008年に村上隆さんの「マイロンサムカウボーイ」というフィギュアが約1500万ドル(約17億円)で売れたことは大きなニュースになりましたが、こちらのフィギュアの価格は10年で300倍以上に高騰しています。

また、最近では草間彌生さんの作品がアジアを中心として高い人気を誇っており、2005年に初めて彼女の作品が100万ドル(約1.1億円)で売れたところから、ここ数年は10億円近くで複数の作品が売れるなど10年間で10倍以上の価格高騰で推移しています。

 

マーケットを主導するのは「アジアのコレクター」

このように以前から高値で取引されてきたルネッサンス期や印象派の巨匠たちの作品以外の、現代アーティストたちによる作品も高値で取引されるようになってきていますが、それを主導しているのは中国本土の人を筆頭としたアジアのコレクターたちです。

アジアのコレクターたちの存在感が大きくなってきたことで、これまでニューヨークとロンドンがダントツだったアートオークションの売上においても、香港が両都市に追いつきつつあります。

アジアの現代アーティストの作品としては上記にある村上隆さんの17億円が最高額でしたが、13年10月に中国の現代アーティストである曾梵志氏の「最後の晩餐」が2330万ドル(約26億円)をつけて大きく更新し、昨年12月には19世紀~20世紀にかけて活躍した画家である斉白石氏の「山水十二屏」という書画が約9.3億人民元(約150億円)で競り落とされ、こちらも中国の美術品の史上最高値を更新するなどとどまるところを知りません。

こうした中国人を中心としたアジアの現代アートのコレクターたちは、これまで欧米からの評価で価格が高騰することが一般的であったアート価格の形成に変化をもたらしています。前述した村上隆や草間彌生に加えて、奈良美智、白髪一雄といった日本の現代アーティストの作品がアジアのコレクターの間で人気となったことで、各作家の貴重な作品の価格はここ数十年で数百倍となって数億円に達しています。