園長でも月給25万…深刻な保育士不足の裏側にある「搾取の構造」

このままでは子どもの命が危ない
小林 美希 プロフィール

素人の参入が子どもの命を脅かす

待機児童を解消することばかりが優先されるあまり、保育に関する基準がどんどん規制緩和されている。目下、懸念されるのは保育士の配置基準を事実上引き下げることになる「地方裁量型認可化移行施設」の創設についてだ(参照「7割が新人の保育所も…保育の規制緩和で犠牲になる子どもたち」)。

認可保育所は、年齢ごとに保育士1人当たりの子ども数が決められ、その配置基準を守らなければならないが、「地方裁量型認可移行施設」では、配置基準の6割を保育士で満たしていればよく、最大4割が無資格者でも認可と同じ運営費が支払われるというもの。

しかし、専門性が必要とされる保育に素人を参入させることは、時に子どもの命を奪いかねない。

8年前、横須賀市が認める「保育ママ」に預けた生後4ヵ月の息子を亡くした母親は、ステージで静かな口調で語った。

「息子を亡くした2010年から2017年までの間に、115人が保育施設で命を落としています。今年も死亡事故が起きている。これはただの数字ではなく、子どもの命の数です。遺族として、子どもたちのために何ができるか考えていきたい」

 

保育ママとは家庭的保育事業という制度のなかで行われる保育者を指し、保育ママの自宅などを使って0~2歳の子どもを預かる。

東京都中央区では今年8月にも保育ママに預けられていた0歳児が睡眠中に急変して死亡した事故が起こっている。中央区では2016年にも「事業所内保育所」(企業が従業員向けに作る保育施設で認可外の扱い)でも1歳児が昼寝中に死亡した事故が起きている。練馬区でも今年10月、生後6ヵ月の乳児が認可外保育施設で死亡している。

保育ママは、1人で3人以内の子どもを預かることができ、補助者を雇用すれば5人まで見ることができる。保育ママになる要件は市区町村ごとに異なるため質はバラバラだ。認可外に至っては、基準を満たさないまま運営しているところも半数近くあり、質が担保されるか不透明な点もある。

本来は、基準を遵守する公立保育所か私立の認可保育所で子どもは保育されるべきだろうが、待機児童解消のため、認可より保育士の配置基準や面積基準が緩い「小規模保育」「事業所内保育」「(東京都独自の)認証保育」などの施設が次々と誕生している。

そこに入りさえすれば待機児童にはカウントされない行政側のメリットが大きい。いわば大人の都合によってできた保育施設といえる。