(写真はすべて筆者撮影)

園長でも月給25万…深刻な保育士不足の裏側にある「搾取の構造」

このままでは子どもの命が危ない

毎年11月3日は、保育士が加盟する労働組合などが主催となり、「子どもたちによりよい保育を!11.3大集会」が開かれる。

そこでは、低賃金や人手不足の問題などが叫ばれる。保育士不足がなぜ起こるかといえば、低賃金・長時間労働が大きな原因となる。

その大元をたどれば、人件費分を他に流用できる仕組みの「委託費の弾力運用」による搾取の構造がある。

 

「小手先の政策では解決しない」

保育施設を所轄する厚生労働省の目の前にある東京・日比谷公園大音楽堂には、全国から保育士や保護者、保育を受ける子どもたち3000人が結集した。

保育士による踊りや歌が披露され、楽しい雰囲気で集会の幕は明ける。労働組合や保育所ののぼりも立ち並ぶなか、主催団体のひとつ全国保育団体連絡会の実方伸子副会長が呼びかけた。

「保育環境は悪化しています。この間の施策は、『どの子にも等しく質の高い保育を』という私たちの想いからかけ離れている。それを打開するために、今、何が問題なのかを明らかにし、国や自治体に向けて声をあげるため、今日、私たちはここに集まっています。公費を大幅に投入して保育の質と量の拡大を図る。小手先の政策では解決しない」

参加者からは、保育士の増員と処遇改善を併せて行うことの重要性についての声があがった。

世田谷区にある私立の認可保育所の園長は、「全国の保育園で保育士が集まらず困っている。養成校(を出た人)の半数は保育園に就職していないという調査もあり、その原因は賃金が見合わないことにある。そして休暇もとりにくい。公定価格(国が見積もっている費用)が低く、園長でさえも月給25万5600円。この額で、誰がやれるだろうか」と、処遇改善の必要性を訴えた。

三重県から駆け付けた私立の保育所で働く保育士も、加算方式で処遇改善するのではない、全体を底上げする処遇改善を求めた。

これはつまり、市区町村を通して認可保育所に支払われる人件費の見積もりが、「そもそも低い」ということだ。

しかし、その低いとされる人件費のなかから、「委託費の弾力運用」によってさらに搾取が可能なため、ブラック保育所が生まれていくというわけだ(参照「日本で『ブラック保育所』が次々と生まれる絶望的な構造」)。