2018.11.25
# ライフ

40代以上の入居者が急増中!変化するシェアハウスの「今ドキ事情」

こんな生き方もあるってことで。
西田 浩史 プロフィール

敷金・礼金なしで手軽

「ひとり暮らしの孤独感から逃れられるだろう、とシェアハウスに住むことに決めました」

地元商業高校、オーストラリアの大学を経て、福岡の翻訳会社に勤めていた宮崎出身の40代のAさん(男性・独身)はそう話す。より良い会社に転職するために上京し、貿易会社で働き始めたものの、都会の希薄な人間関係にしんどさを感じ、半年を過ぎる頃にはほぼ引きこもり状態に陥ってしまった。

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「そんな時、同僚にシェアハウスを教えてもらって。共同生活は初めてでしたが、部屋は個室ですからプライバシーは保たれていますし、共同スペースには常に誰かしらがいて、雑談をしたり、一緒に料理を作ったり……。本格的に心を病まなかったのは、同居人たちのおかげですね」とAさんは語る。

入居時には仕事も辞めていたAさんだが、シェアハウスで同居人だった私に勧められて、教員を目指すことに。編入で国立大学の教育学部に入り直し、現在は有名私立中高一貫校の数学教員として働き、この12月には数年を過ごしたシェアハウスを出て、ひとり暮らしを始めるという。

 

商社勤務の50代男性Bさんは、家族のいる大阪から単身赴任で上京した。会社はウィークリーマンションを用意してくれていたが、「家族と離れての単身赴任は正直、寂しい。今さらひとり暮らしするよりは、シェアハウスの同居生活もいいかなと思って」と、部下に教えてもらったシェアハウスに入居した。

「いやあ、楽しいんですよ毎日。学生時代を思い出しましたね。若い子が多くて生活にハリがあるし、外国人も多くて語学の訓練にもなる。私の子どもは今、高校2年生なのですが、大学進学でひとり暮らしになるのなら、シェアハウスに入居させるのも手だなと思いました」

埼玉県出身の40代女性Cさんは、20代、30代と海外を放浪してきた。帰国したら、家賃の安いシェアハウスで節約しながら、コールセンターなどで派遣の仕事をして短期間で金を貯め、また海外へ、というサイクルを繰り返してきた。

「実家が都内近郊にあるので、本当は日本にいるときは実家に住めばいいんですけどね。でも40代にもなって独身でこんな暮らしだから、一緒にいると親はいろいろと口うるさくて、煩わしいのが正直なところなんですよ。

でもシェアハウスにいると、他人の人生に文句を言う人は誰もいません。むしろ私の旅の話に興味を持って聞いてくれる人は多いし、尊敬のまなざして見られることもある。コミュニケーションが気楽で、居心地がいいんです」

とはいえこの女性、食費を浮かすためなのか、入居者が自炊をしている時に近づいてしょっちゅうご飯をたかるので、煙たがられてもいた。さすが世界を放浪する彼女は、そんなのも気にしない風であった。

若者が楽しく暮らすために入居するイメージが強いシェアハウスだが、実際は若者は家賃を浮かすために入居する人が多く、むしろ40代以上の入居者こそ、安い家賃以外の何かを求めてシェアハウスにやってくるのが私の印象だ。

孤独を避ける手段、さらには入居者同士の交流、外国人との国際交流などへの期待を動機にシェアハウスを選ぶケースが少なくないのだ。

ここまで読むとかなり変わった人が多い印象を受けるかもしれないが、実は結構すごいプロフィールの人もいる。ソニーの技術者、ゴールドマンサックスのコンサルタント、NTT docomoの開発者、学校の先生なんかもいた。学校の先生はこっそり生徒たちをシェアハウスに連れてきたりしていて、この人は大丈夫なのかと心配にもなった。

もちろん、シェアハウスでの恋愛に夢を膨らませる人も少なくはないだろう。実際、結婚に発展する恋愛も珍しくなく、前出のAさんもシェアハウスで出会った女性と今年結婚する予定だ。

そうは言ってもシェアハウスでの恋愛には、異性からの苦情や恋愛関係のもつれなど、退去の危険もつきまとう。Aさんはハッピーエンドを得ることができたが、当然、中には揉めに揉めるケースもある。そうしたリアルな人間模様は、次の機会に紹介したい。

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