誰でも必ずモノにできる「理系の英語」学習のために絶対必要なこと

物理学者が「英語」の本を書く理由
志村 史夫 プロフィール

一言でいえば、私たちが学校で習ってきた「学校英語」は「受験英語」であり、必ずしも実戦を目指したものではなかったことであると私は思う。

もちろん、私は「学校英語」や「受験英語」を全面的に否定するものではない。私たちはそれらを通じて英語の基礎を学んだし、私がこれから述べようとする「実戦英語」の基盤となるものでもある。

私たち日本人が日本にいて、「学校英語」を脱して「実戦英語」を身につけるのは容易なことではないが、こと“理系英語”に限ってみれば、工夫と努力次第で必ずモノになる。それは私自身の経験と、私がアメリカの大学時代に、日本人を含む英語を母国語としない国からの留学生たちを鍛えた経験から自信をもっていえることである。

本書ではこれから、その工夫と努力の要点を述べる。本書の読者には希望をもって精進していただきたいと思う。

本書の目的─理系のための「読力」と「書力」を徹底的に高める

最初に申し上げたいことがある。

テレビや新聞の広告を眺めていると、「健康」に関わる商品とともに多いのが「英語教材」に関わる商品のような気がする。それらの英語教材の宣伝文句には、「私は英語のための勉強はしない。ただ聞き流すだけ!」「テキストも辞書もいらない」「考える前に英語がでしゃばってくる」「初めは一日5分聞き流す! 聞くだけで英語が口をついてでてくるなんて画期的!」「遊び心で英語が身につく」「いいんですか? こんなに楽して英語をマスターして」などという、夢のような言葉が並んでいる。

このような広告が絶えることなくテレビや新聞に大きく登場することを考えると、これらの商品を求める人が絶えることなく存在しているということに違いない。また、書店の本棚には「20日間で英語ペラペラになる本」「英語速習マニュアル」「早く手軽に英語をマスターするコツ」といった類の本が所狭しと並んでいる。

これらの広告や本が意味する「英語」がどのようなものなのか、私にはわからないが、少なくとも、本書ですでに述べてきたような、またこれから述べるような実英語が、テキストも辞書も必要とせず、一日5分聞き流すだけで、楽して早く手軽にマスターできるようなことは、18ヵ国語に通じたという南方熊楠(みなかたくまぐす、1867-1941)のような語学の天才でない限り、絶対にない。もしあるとすれば、そ
れはまさに夢の中の話である(じつは、後述するように、南方熊楠ですら、それなりの努力をしているのだ)。

「お手軽にマスター」は夢物語だ Photo by Pixabay

したがって本書は、 ちまたにあふれているような「夢のような教材」ではないし、本書を読んだだけでは英語が身につかないことも明らかである。まず、英語習得に対する幻想(非現実的なことを、夢でも見ているかのように心に思い浮かべること)を捨てていただきたい。

また本書は、“理系英語”の書き方や表現法、あるいは直接的に役立つphraseなどを伝授することを目的とするような本でもないことを最初にお断りしておく。