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医学部入試不正の盲点「一次試験合格者数が多すぎる」疑惑を検証する

「不正入試」は本当にこれだけなのか?

思い当たる大学がある

前回、東京医科大学の不正入試事件に関して論評したところ、複数の読者の方から私あてに直接連絡を頂戴した。その中には、今回、受験生が受けた不正な扱いについて切実に訴える内容のものがあった。

「先生にお尋ねします。人間というものは一生懸命努力をして、勉強ができるようになることはいけないことなのでしょうか。できるようになるのに時間がかかることは悪なのでしょうか。努力をし続け、自分がなりたい医師になった方のほうが、挫折を経験している分、患者さんの気持ちも分かると思います。それが何故いけないのでしょうか。なんの苦労もなく、よくできた方ばかりが、医学部に入学しているのだとしたらとても残念です」

「受験生は自分の人生や日々の生活を犠牲にして勉強しています。医学部受験は難度が高いので、努力をしているのに結果が出ずなかなか報われないことはあるでしょう。しかし、その背景に恣意的な力が働いているとしたら、それは許せません。強い憤りを感じます」

お気持ちは痛いほど分かる。連絡を頂戴したどの方も、浪人生を抱える親御さんであった。当事者であるからこそ、こういう気持ちになるのだろう。

だが、この「恣意的な力」が複数の大学で機能していた疑いが、文部科学省の調査(10月23日発表「医学部医学科の入学者選抜における公正確保等に係る緊急調査の中間まとめ」)で判明したのも事実だ。

 

文部科学省が発表した「不適切である可能性のある事案」に示されている「恣意的な力」は、概略まとめると、(1)現役生等若年受験生有利、多浪生・女子受験生不利、(2)同窓生の子女有利、という構図である。

また、疑惑を招きかねない事案としては、(1)面接における家庭環境・経済状況に関する質問の実施、(2)補欠合格者選定の際の閉鎖的構造、(3)合否判定において、同窓生・教員の推薦·関与、などが例示されている。ありうることである。いずれも想定内だ。

しかしながら私には、この調査には顕現していないが、「疑惑を招きかねない」と考えられる事案が、まだ他にあるように思われるのだ。

私は数十年にわたって医学部入試に携わり、医学部受験生の指導に関わる中で、様々な不可解な現象を目にしてきた。その中で、受験生や他の受験関係者との意見交換を通して、構造的に確かに存在すると思われるものとして、どうにも解せない、不思議な「フレーム」があるのではないかと考えている。

それは、いくつかの私立大学医学部で、一次試験合格者の数があまりに多すぎるのではないか、ということだ。個別の指摘は避けるが、思いあたる大学が複数ある。