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安倍首相「日露交渉」に同行したキーマンの名前

すでに舵は切られている

「立ち位置」が鮮明に出た「日露交渉」報道

新聞各紙は朝刊に「社説」を掲載している。新聞各社の社論と言っていい。そして各紙は、その社論に従うかどうかは別にして、日々様々なテーマを独自に取材・報道する。テーマが外交案件でも同じである。

先の日露首脳会談についての各紙報道を詳細に読んでみた。当然ながら、社論の違いはあるにしても、各紙報道の力点が大きく異なっていた。それは評価の違いである。

11月14日、シンガポールのシャングリ・ラ・ホテルで安倍晋三首相とウラジーミル・プーチン大統領の23回目のトップ会談が開催された。毎度ながら恐縮だが、15、16両日の各紙一面の見出しを比較したい。

 

朝日新聞:「首相『2島先行』軸に―56年宣言基礎に平和条約交渉、4島一括返還から転換」(15日付朝刊)、「北方2島『米基地置かぬ』―返還交渉、首相、プーチン氏に」(16日付朝刊)、読売新聞:「平和条約交渉を加速―日露首脳会談、日ソ共同宣言基礎に」(15日付朝刊)、「歯舞・色丹主権 妥協せず―平和条約交渉、プーチン氏が見解」(16日付朝刊)

日本経済新聞:「日ロ、56年宣言基礎に―首脳会談、平和条約を巡り一致」(15日付朝刊)、「首相、1月下旬に訪ロ―平和条約巡り首脳会談へ」(16日付朝刊)、産経新聞:「日露平和条約 3年内締結へ―首脳会談、北方領土交渉を加速『56年宣言』基礎に」(15日付朝刊)、「首相提案で交渉前進―平和条約、来年6月合意を目指す」(16日付朝刊)。

各紙報道はおおむね、今後の平和条約締結に向けた交渉は1956年10月の「日ソ共同宣言」を基礎にして加速させることで合意したというものであった。

ただ、安倍・プーチン両氏は「テタテ」(tete-a-tete。外交用語で記録係を同席させず通訳のみで行う首脳会談を指す)を行ったため、会談内容すべてを把握しているメディアはほとんどない。その中で産経新聞のみが「日露平和条約3年内締結へ」「来年6月の合意目指す」と具体的な情報を盛り込んだ見出しを掲げた。

これは特筆に値する。他紙からは「産経は総理に近い政治部長と編集委員がいるから」などのやっかみが聞こえるが、たとえリークがあったとしても、それが事実に限りなく近いものであれば、書いた(報道した)ほうが勝ちである。