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新型レクサスLS カー・オブ・ザ・イヤー“予選落ち”の衝撃

迷走するトヨタの高級ブランド戦略
レクサスがおかしい。満を持して投入した新型LSが評価の面でも、販売面でも“期待”を下回る動きにとどまっている。それにはレクサスの抱える「ある問題」が存在する──と近刊『マツダがBMWを超える日』がベストセラーになった山崎明氏が指摘する。30年以上にわたって、トヨタやレクサスのマーケティング戦略やコミュニケーション戦略に深く関わってきた氏の問題提起は、日本企業のプレミアム戦略にも通じる問題をはらんでいる。

フルモデルチェンジした新型レクサスLSのつまずき

11月7日、第38回2017-2018日本カー・オブ・ザ・イヤー(主催:日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員会)の10ベストカーが発表された。最終ノミネートの10台である。

実は“大物”がこの10台に含まれていない。レクサスの看板車種であり、11年ぶりの渾身のフルモデルチェンジを遂げた新型レクサスLSが、である。さらに、第27回(2018年次)RJC カー オブ ザ イヤー(主催:特定非営利活動法人 自動車研究者ジャーナリスト会議)の6ベストカーにも選ばれていない。

 

2006年に発売された先代LSは、日本カー・オブ・ザ・イヤーを獲得しただけでなく、世界中の自動車ジャーナリストから選ばれるワールドカー・オブ・ザ・イヤー(WCOTY)も受賞しているので、その落差は大きい。

2018年のワールドカー・オブ・ザ・イヤーは4月に発表が済んでいるが、こちらでも新型LSは第2次選考の10台に選ばれていない。高級車カテゴリーに限定したワールド・ラグジュアリー・カー部門ではノミネートされたものの、ノミネート車5台中4位に留まった。今まで歴代LSは高く評価されてきたが、新型LSは日本でも海外でも、自動車ジャーナリストの評価は今ひとつなのである。

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米国での販売台数は先代LSの3分の1程度

芳しくないのは専門家の評価だけではない。アメリカでは2018年1月に発売されたが、本格的に納車が始まったと考えられる3月~10月で月平均855台の販売に留まっている。先代LSは発売当初月平均3000台弱(2007年)を販売しており、今のペースでは先代の3分の1以下の水準である。

それ以前の世代のLSもすべて初年度は年間2万~4万台を売り上げており、新型LSの販売不振が際立つ。最大のライバルであるメルセデスベンツSクラスに大きく水を開けられ、スポーツカーに近い4ドアセダンであるポルシェ・パナメーラにさえ肉薄されているのである。

日本でも2017年10月の発売後3月までは目標月間販売台数600台に対し2000台レベルと好調だったが、5月以降は400~500台レベルに落ち込んでいる(販売台数データはアメリカはcarsalesbase.com、日本は自販連のものを参照した)。

このように、新型LSは顧客からの反応も芳しくないのである。