「徴用工判決」問題がこれからの国際政治に与える意外な影響

日本はどう行動すべきか
佐藤 優 プロフィール

北方領土問題ともつながっている

佐藤:それで、さっきもお話しした通り、アメリカはどうですか? 慰安婦問題では、アメリカ世論は日本を100%支持しているわけではない。徴用工問題でますます雰囲気は悪くなる。

邦丸:アメリカの国内世論は混乱する可能性がある。

佐藤:しかもトランプさんは金正恩をいいヤツだと言っているわけです。そうすると、日本が関係改善できる余地がある国って、日本の周辺だとどこが残りますか?

邦丸:ロシアが残っていますね。

佐藤:ロシアしかない。だから、日本はロシアに接近せざるを得なくなるわけです。近々、たぶん今月の半ばに、シンガポールで安倍さんとプーチンさんが会うと思う。そこから北方領土がグッと動くかもしれない(編集部注・14日に同地で日露首脳会談が行われた)。

 

邦丸:なるほど。

佐藤:韓国がこれだけ反日的な姿勢を強硬にして、そこに北朝鮮と中国が結びついて、アメリカが退いていく…そういう構図が目に見えているから、おそらくロシアは徴用工問題でも日本を支持するはずです。「決めた約束は守りましょう」と。

なぜかというと、旧ソ連諸国では、スターリン時代に強制労働に就かされた人もたくさんいるわけです。中央アジアとかコーカサス、ウクライナとか。そういった国で個人請求権が認められたら、ロシア政府はどうなりますか?

邦丸:大変だ。

佐藤:そうです。だから日本に頑張ってもらわないと、ロシアにとっては他人事じゃないんですよ。こういうちゃぶ台返しはやめましょう、約束は守ろうよ、と。

そのとき、ロシアも1956年に「平和条約をつくったら歯舞群島・色丹島を引き渡す」という約束をしていますから、ロシアは約束を守る国ですよね──と、こういう方向で安倍さんが押していけば、北方領土交渉も動く可能性が高い。

邦丸: 全部つながっているんですね。

佐藤: 全部つながっています。だから、この11月は外交的にはすごく重要な月なんです。