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家を抵当に入れて作った「バイオマス造水装置」が巨額賞金を得るまで

1リットル2円、賞金は1.7億円!
ありふれたコンテナから、タダ同然で清潔な水が作り出せる──。

世界中の貧しい人々への福音となる発明を実現し、世界中の有力企業が競う大型コンテストを制したのは、わずか3人で起業した中小企業だった。

「Xプライズ」の巨額賞金を狙え!

最初はかなり控えめな話だった。

デイヴィッド・ハーツ氏は、条件が整っていれば、それこそ天から降ってきたかのように、 どこからともなく水を作りだせることを知って、自分のオフィスの屋根に小さな変わった装置を取り付けた。その装置で水を大量生産してボトルに詰め、欲しい人に無料で配るようになった──。

ハーツ氏と妻のローラ・ドス-ハーツ氏はすぐに、もっと大きなことを考えるようになった。

そしてその結果、2人は2018年10月に、空気から水を作る装置の開発を課題とする 「ウォーター・アバンダンスXプライズ」で大賞に選ばれ、賞金150万ドル(約1億7000万円)を勝ち取った。

 

大賞に選ばれるための条件は、大気から1日2000リットルもの水を、1リットルあたりわずか2セント(約2.3円)の費用で生成すること。ハーツ夫妻は、輸送コンテナ、ウッドチップ、その他の有機廃棄物を使って、この条件を満たすシステムを開発したのだ。

Xプライズは、慈善活動家や起業家などのグループによって創設されたコンテストだ。独創性に富み、時代を先取りしていると評価した、地球の保護と改良を目指すアイデアに対して、これまでに1億4000万ドル(約159億円)以上の賞金を提供してきた。

2004年に開催された第1回のXプライズでは、「スペースシップワン」で世界初の民間有人宇宙飛行に成功したことにより、マイクロソフトの共同創設者ポール・アレン氏と航空業界のパイオニアであるバート・ルータン氏が大賞に選ばれている。

そして2016年、「新鮮な水が十分にない地域のために、清潔な淡水を作り出す、安価で革新的な方法を考案した人に賞金を提供する」というウォーター・アバンダンスXプライズの発表を知ったハーツ氏は、これに全力で取り組むことにした。

3人の会社で開発した造水装置

その当時、ハーツ氏の小さな水製造装置は1日約570リットルの水を製造していた。そうした水のほとんどを、会社の裏手の路地周辺に住むホームレスの人々にあげていた。

彼が経営する「ザ・スタジオ・オブ・エンバイロメンタル・アーキテクチャ」は、カリフォルニア州のベニスビーチエリアにあり、グリーンビルディング(環境に配慮した建築)を専門とする会社だ。

ハーツ氏と、カメラマンの妻、そしてビジネスパートナーで、より小型の装置を生み出したリチャード・グローデン氏は、新会社「スカイソース/スカイウォーター・アライアンス」を設立し、開発に取りかかった。