処分されても暴力を繰り返す指導者たち

暴力を繰り返す指導者も多い。

岩手県立不来方高校(紫波郡矢巾町)男子バレーボール部3年の新谷翼さん(当時17)が7月に自死した問題は、「ミスをしたら一番怒られ、必要ない、使えないと言われました」などと顧問から受けた暴言の詳細が記された遺書が残されている。岩手県教育委員会の調査でも一部生徒が至近距離でボールを当てられたことを証言。これらの事実を踏まえ、遺族側は顧問の男性教師による間違った指導が自死の原因だと主張しているが、学校や県教育委員会は目下のところ否定している。

しかも、この顧問は、前任校である盛岡第一高等学校でバレー部員に暴力をふるったとして、民事訴訟をおこした元生徒と係争中だ。

9月には日本体育大学駅伝部監督(55)の暴力やパワハラによって現役引退に追い込まれた元部員がこれを告発した。部員の脚を蹴ったり、故障した選手に「障害者じゃないか」などと不適切な言葉を投げつけたという。事態を重く見た大学側が監督を解任したが、元監督は以前指導していた高校駅伝の名門校でも暴力問題を起こしている。

10月には、松本国際高校(長野県松本市)の監督(62)が、部員への暴力や暴言を認め、解雇されている。元監督は、前任校である同県立岡谷工を春高バレーで優勝させるなど強豪校に育て上げたものの、重大なパワハラ行為があったとして停職6カ月の処分を受け辞職していた。

レスリングに日大アメフト、体操女子。スポーツ界の不祥事が続くなか、生徒や保護者のパワハラに対する意識が高くなってきたともいえるが、暴力、暴言、パワハラで処分を受ける運動部の顧問は後を絶たない。本来は生徒がスポーツを楽しみながら成長する場であるはずの部活動で、なぜ顧問たちは間違った指導を繰り返すのか。

6割が「暴力による指導」を容認

関係機関も手をこまねいているわけではない。スポーツ庁は今年3月に発表した「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」は、「適切な指導の実施」で部活顧問の指導のあり方に触れている。

「校長及び運動部顧問は、運動部活動の実施に当たっては、文部科学省が平成25年5月に作成した『運動部活動での指導のガイドライン』に則り、生徒の心身の健康管理(スポ―ツ障害・外傷の予防やバランスのとれた学校生活への配慮等を含む)、事故防止(活動場所における施設・設備の点検や活動における安全対策等)及び体罰・ハラスメントの根絶を徹底する」

これに加え、都道府県及び学校の設置者は「徹底されるよう指導・是正を行う」よう求められている。

にもかかわらず、暴力指導は繰り返される。恐らく、通達だけでは抜本的な解決に至らないのだ。