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崖っぷちのメルケル首相が絶対に手放せない「脱原発の命綱」

ロシア産天然ガスをめぐる関係国の確執

シュレーダー元首相の置き土産

2017年、ロシアから西ヨーロッパ、中欧、そしてトルコへの天然ガスの輸入が1939億㎥で、史上最高となった。

そもそもEUは、天然ガスにおけるロシアへの依存を減らすはずだったのだから、現実はまさにその真逆。2015年から2016年が12.44%増、2016年から2017年は8.1%増で、現在、EUの天然ガス供給におけるロシアのシェアは36%と見られる。その次がノルウェーで、ほぼ25%。

ドイツはずっと以前より、ロシアからのガス輸入は、全体量の3割までに抑えるということを言い続けてきた。しかし、実際には依存率はすでに4割。しかも、2017年の輸入量は前年比で7.2%伸びて、534億㎥と、もちろん、これまでで最高だ。ドイツで言っていることとやっていることが食い違うのは毎度のことだが、これは特筆に値するだろう。

 

ドイツとロシアの間にはバルト海があるが、そこを海底パイプラインが通っており、ガスは直結でドイツに入る。「Nord Stream 1」と名付けられたこのパイプラインは、2005年、選挙でメルケルに負け、政権を明け渡さなければならないことを悟った当時のシュレーダー首相が、駆け込みで締結した世紀の大プロジェクトだった。

Nord Streamを建設、運営するために、Nord Stream株式会社が設立された。株式の51%を世界一のガス会社であるロシアのガスプロム社が、残りをドイツ、オランダ、フランスのエネルギーコンツェルンが出資した。

当時、シュレーダー元首相はこのプロジェクトのため、KfW(ドイツ復興金融公庫・ドイツの国営銀行)とドイツ銀行に政府の保障を与え、ガスプロムに10億ユーロの融資をさせた。そして、首相を辞めて5ヵ月後、シュレーダーは、この新会社の監査役の役員代表となったのである。汚職を濃厚に疑われた行為だった。

そして2011年、Nord Stream 1は完成し、以来、ロシアのガスはどんどんドイツに送られている。

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