京都の境内で喫煙!?日本での「NG行為」が外国人に伝わらないワケ

居住国で「普通にOK」がダメなとき
雨宮 紫苑 プロフィール

高野山僧侶の「ブチ切れ返信問題」

外国人観光客を呼ぶとき、「日本ではこんなに素敵なことができるよ!」とアピールする。それは当然だし重要だ。しかし「これは日本ではできないよ!」というNGルールもちゃんと伝えなければ、絶対にトラブルになる。というか、もうなっている。

最近だと、2018年7月27日にイギリスのガーディアンで報じられ、その後日本でも大々的に報じられた高野山の僧侶がいい例だ。

 

高野山では参拝者用の宿泊施設『宿坊』で座禅や写経をして精進料理を味わうなどの宿泊ができる。その予約をする大手旅行予約サイト『Booking.com』でネガティブコメントを書いた人に向け、高野山の僧侶が挑発的な返信をした……という内容である。

客「朝、お風呂に入れなかった」

僧侶「日本では仕事を終えて、夜風呂に入るんだ。朝じゃない。もうちょっと勉強しろ」
客「ものすごく堅い堅い床で寝なければならないし、シャワーもまったく見知らぬ人と共同」

僧侶「問題は簡単で、ここは旅館でなく、僧侶のいる寺だということだ。願わくばきちんと理解してほしいものだね」

などなど……。

「もうちょっと言い方があるのでは」とは思うが、僧侶側の意見もわかる。僧侶や職員はホテルのコンシェルジュではないし、宿坊は温泉つきの旅館ではない。

では書き込みをした外国人宿泊客が傲慢だったのかといえば、そうとも言いきれないと思う。というのも、彼・彼女たちは、宿坊を『誤解』していた可能性があるからだ。

たとえば英語版ページでは、精進料理について「伝統的なベジタリアンの朝食と夕食が可能」と書かれている。だからこそ、宿泊者から「ベジタリアンの朝食・夕食は典型的なアジアのベジタリアン料理。そういうのが好きな人にはいいんだろうけど、私たちにとってはすごく高かった」というコメントもされたわけだ。

ちなみに返信は「これは僧侶の食べる精進料理で、典型的なアジアのベジタリアン料理なんかじゃ100%ない」である。

いやまぁ、僧侶の言い分もわからなくはない。お寺だし。しかし、ベジタリアン料理だと思って来た人には、精進料理はたしかに奇妙なものに映るだろう。ちなみに日本語版のページには、ちゃんと「精進料理」とある。

さてこれは、どちらかが「悪い」のだろうか?

Booking.comの英語版ページ。やはり世界遺産に登録されている高野山赤松院は高野山の宿坊の中でも一番の人気を誇る。確かにここには「朝食・夕食に伝統的なベジタリアン料理が可能です」とある。精進料理の説明もなかなか難しいだろう