京都の境内で喫煙!?日本での「NG行為」が外国人に伝わらないワケ

居住国で「普通にOK」がダメなとき
雨宮 紫苑 プロフィール

ヨーロッパの多くで屋外喫煙は「普通」

こんなことを書くと、「日本には日本のルールが」なんて言葉が出てきそうだが、ちょっと待ってほしい。問題は、『そもそもそのルールが外国人観光客に伝わっているのか』ということだ。

以前、日本マニアのドイツ人に、「日本では自転車や犬を電車に乗せられないんだよ」と言ったことがある。正確には、自転車は折りたたむ必要があり、犬はケージに入れるべきである、と(鉄道会社のルールによるが)。

すると彼は、「じゃあ旅行先で自転車に乗りたいときや、ふだん犬と出かけるときはどうするんだ?」と聞いてきた。その質問をされたわたしは、逆に驚いてしまった。わたしにとって、「ダメなものはダメ」で終わりの話だったからだ。

 

ドイツの電車には、折りたたまずに自転車を載せられる車両があり、自転車を固定するベルトや台が用意されている。犬は、セントバーナードだろうがチワワだろうが、ケージに入れずにそのまま一緒に乗れる。それどころか、犬連れでデパートやレストランに入ることも可能だ。カフェの前には、犬用の水入れが置いてあることもある。

ドイツの電車。自転車のマークがある。ドイツのみならず、ヨーロッパはこういう電車が多い。NYのメトロでスポーツバイクを乗せるているのも普通の光景だという Photo by iStock

これは国のちがいだから、どちらがいいわけではない。ただ、そういう環境に慣れている彼からしたら、日本でそれができないこと自体が『想定外』なのだ。

たとえば、ドイツで風邪予防のマスクをしていたら、「清掃員?」「もしやテロリスト……?」と奇異な目で見られる。日本では日常的にマスクを使えるが、ドイツでは『変なこと』なのだ。

このように、「自分にとって当たり前だから他の国でNGだなんて思ってもみなかった」という認識の相違は、どの外国人観光客にも起こり得る。

外国人観光客が増えるということはつまり、悪意なく山手線にロードバイクごと乗り込む人がいたり、ゴールデンレトリーバーを連れて伊勢丹に来る人の可能性を考慮しなくてはいけない、ということでもあるのだ。